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人間解放の理論のために 見田宗介かく語りき (3)価値の基準の明確化とは、人間的な欲求の総体的な把握に基づく望ましい未来の判定基準の明確化である。

人間解放の理論のために 見田宗介かく語りき (3)価値の基準の明確化とは、人間的な欲求の総体的な把握に基づく望ましい未来の判定基準の明確化である。

 見田宗介(1937、社会学)の言葉を、ご紹介します。個人的利害や社会的立場、思想・信条や好き嫌いなど趣味の違いを超えて、日本と世界の未来を真剣に考えようとする人にとっては、きっと貴重な示唆を与えてくれることと思います。

【価値の基準の明確化とは、人間的な欲求の総体的な把握に基づく望ましい未来の判定基準の明確化である。】
 価値の基準の明確化とは何か? それは、ある未来を望ましいものと判定するための基準の明確化だ。では、どのような未来が望ましいのか。それは、私たち自身が、心底においてどのような生き方を欲しているのかを知ることだ。すなわち課題は、人間的な欲求の総体的な把握である。
 「この未来の構想そのものにとって最初の課題は、いうまでもなく、そもそもある未来を望ましいものと判定するための《価値の基準の明確化》である。しかしこのような「価値の基準」は、外からなにか超越的な尺度としてもってくるべきものではなくて、ほかならぬぼくたち自身とその同胞が、心底において《どのような生き方を欲しているのか》、このことの明確な対自化としてしかありえない。
 すなわち「望ましい」未来とは、現に生きている《この》人類にとって望ましい未来にほかならないから、その価値の基準の明確化の課題とは、人間の《人間的な欲求の総体的な把握》以外の何ものでもない。しかしそのためにはまず、疎外された欲望の物象化による欲求概念の矮小化から、人間的欲求のイメージそのものを解き放たねばならないだろう。そして欲求の人間的な普遍性を、《社会的・自然的存在》としての人間の普遍的な存在構造そのものに基礎づけて把握しなければならないだろう。」
(見田宗介(1937-)『人間解放の理論のために』序 解放の〈全体理論〉をめざして Ⅰ いかなる未来をめざすのか―――〈目的の理論〉、p.14)



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 さて、まとめとして、ご紹介した見田宗介さんの言葉を、下記に一覧化しておきましょう。

何のための学問、認識なのか? 目的を明確にせよ! そのためには、現に存在するものをのり越えてゆく想像力によって、価値基準を明確に自覚化する。こうしてはじめて、客観的な情況の真に透徹した認識にも到達できる。
なぜ、夢と希望のある未来が語られることがなくなったのか? そこには、科学主義、客観主義の罠と、実存主義、主観主義の罠がある。
価値の基準の明確化とは、人間的な欲求の総体的な把握に基づく望ましい未来の判定基準の明確化である。



(出典:朝日新聞「一編の長編小説のように」見田宗介、初の著作集 2011年11月25日10時44分)

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