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脱原発・基本命題集 高木仁三郎かく語りき (31)ヒューマン・エラーの種類(認知のミス、誤判断、記憶違い、忘れ、動作のミス)と要因(注意の狭小化、認識上のゆがみ、覚醒度、ストレスとプレッシャー)

 脱原発に生涯を尽くした科学者がいました。高木仁三郎(1938-2000、物理学、核化学)。なぜ脱原発なのか、忘れてはならない彼の言葉を、ご紹介します。個人的利害や社会的立場、思想・信条や好き嫌いなど趣味の違いを超えて、日本と世界の未来を真剣に考えようとする人にとっては、必ず知っておくべき基本命題集です。

【ヒューマン・エラーの種類(認知のミス、誤判断、記憶違い、忘れ、動作のミス)とエラーを生み出す要因(注意の狭小化、認識上のゆがみ、覚醒度、ストレスとプレッシャー)】
 ヒューマン・エラーの種類:認知のミス、誤判断、記憶違い、忘れ、動作のミス
 エラーを生み出す要因:注意の狭小化、認識上のゆがみ、覚醒度、ストレスとプレッシャー
(一)注意の狭小化
 あるひとつのことにこだわったため、重要なことから関心がそがれてしまい、エラーを生み出す。発生した事故の状況下では、一つの事柄への集中が生じ、注意の狭小化が起こる。
(二)認識上のゆがみ
 さまざまな「雑音」や、人間の先入観により、正しい認識が妨げられる。問題のある日常の運転管理が「認知的構え」を作り出し、発生した状況を、簡単なこと、自分に都合のよいことと解釈してしまう。
(三)覚醒度
 人間としての活動リズムに反する時間帯には過ちを犯しやすい。
(四)ストレスとプレッシャー
 潜在的に大きな危険性をもつ巨大システムの運転員は、「誤りが許されない」というストレスと、決められたスケジュールどおりに運転しなくてはならないという大きなプレッシャーに、常にさらされている。このようなストレスやプレッシャーは、運転員を精神不安定にしたり、事故が起こったときに過剰な反応を呼び起こしたり、逆に、迅速な対応を失ってしまうかの、いずれかになる可能性が大きい。
 「ヒューマン・エラーは、偶然にヒョッととんでもないことが起こるというよりも、人間の置かれたある環境のもとで一定の蓋然性をもって惹き起される。とくに、事故時においては、運転員はひときわエラーを起こしやすい環境に置かれていると言えよう。
 心理学者は、エラーを認知のミス、誤判断、記憶違い、忘れ、動作のミスと分類している(正田亘『ヒューマンエラー』エイデル研究所、一九八八年)。我々にとってもっとも興味深いのは、エラーを生み出す要因の分析である。先の述べた英国心理学会声明で心理学者たちが分析している点のうちで、本書の事故論との関係で重要と思われるものを、少しく自己流に整理して紹介すると、次のような点である。
(一)注意の狭小化
 しばしば事故の原因となる現象だとされる。たとえば「車輪が下がったことを確認するランプがなぜつかないのかを思案していた飛行機乗員は、自分たちが誤って自動操縦を解除していたことに気づかず、必要な高度を維持できなかった(その結果地面に激突した)」というようなケースである。
 これは、あるひとつのことにこだわったため、重要なことから関心がそがれてしまうエラーで、チェルノブイリでもこの「注意の狭小化」が大きな役割を担ったとされている。すなわち、制御棒を規則に定められた安全余裕以上に引き抜いてしまったことがこの事故の大きな理由とされているが、この「規則違反」は、予期せぬ出力降下に直面して運転員が実験を遂行するための出力を保持することに必死になったために起こった。
 これらがしばしば事故の原因になると『核戦争の心理学』は述べているが、しかし、右の二つの例がそうであるように、事故の状況下でこそ、一つの事柄への集中が生じ「注意の狭小化」が起こることに注目する必要があろう。
(二)認識上のゆがみ
 これはさまざまな因子が働いて正しい認識が妨げられることで、その因子とはスリーマイル島の制御室に見られたような「雑音」とか、人間の先入観などがある、と言う。これと関連して、「認知的構え」と言って、人は証拠を否定するよりも肯定することを好む傾向にある、と言う。」「とくによくあるケースは、システムに何か異常が認識された場合も、運転員がそれを簡単なことと都合のよいように解釈してしまうことだろう。ボパールの運転員が圧力計の読みを無視したのは、その一例であろう。これも単なるミスというより、日常的な運転管理に問題があり、それが「構え」をつくり出しているのである。
(三)覚醒度
 人間の一日のリズムが人間の目覚めている度合に関係し、その覚醒度が不適だとエラーにつながるとされる。たとえ専門的に訓練されて夜の交代勤務(シフト)につくような人々でも、やはり人間としての活動リズムに反する時間帯には過ちを犯しやすいということであろう。」(中略)
(四)ストレスとプレッシャー
 「潜在的に大きな危険性をもつ巨大システムの運転員は、彼個人がそのシステムの安全性をいかに信じていようとも、「誤りが許されない」という気持ちが常にあり、そのストレスにさらされている。また、なるべく決められたスケジュールどおりに、飛行機やプラントを動かしたいし、そうしなくてはならないという大きなプレッシャーに常にさらされている。
 このようなストレスやプレッシャーは、運転員を精神不安定にしたり、事故が起こったときに過剰な反応を呼ぶか迅速な対応を失するかのいずれかになる可能性が大きい。既によく知られているように、アメリカの核兵器に関する仕事に従事する軍人たちの大多数は、そのことに負担を感じている。一九八〇年の調査で過去一年間に何らかの薬物を用いた人の数は三六パーセントに達し、異常に高い(J・トンプソン編著(黒沢満訳)『核戦争の心理学』西村書店、一九八八年)。
 まったく同じでないにしても、同種の状況が原発や他の巨大プラントの運転員についてもありうるだろう。大きな潜在的危険度に加えて、巨大なシステム全体の歯車の一コマのようにして、制御室全体の何千という計器や表示に取り囲まれて仕事をしなくてはならないことからくる疎外感は、ヒューマン・エラーの一因となりうる。」
(高木仁三郎(1938-2000)『高木仁三郎著作集 第九巻 市民科学者として生きるⅢ』巨大事故の時代 第八章 ヒューマン・ファクター、pp.134-137)



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 さて、まとめとして、ご紹介した高木仁三郎の言葉を、下記に一覧化しておきましょう。
また特に、一部の命題は、高木仁三郎の遺志を継ぐ原子力資料情報室(CNIC)の、とてもコンパクトで分かりやすくまとめられた「なぜ脱原発?」に、追記しておきます。

【地球はすでに汚染されている】
 (1) 海底に積っている泥の、最上層一ミリメートルぐらいの表層は、物凄く放射能が強い。
 (2) 非常に特殊なアイソトープであるはずのプルトニウム-二三九や二三八が、今では地上のどこでも検出される。
 (3) プルトニウムは、ある種の紅藻(ノリなど)、褐藻(ワカメなど)、ホタテガイやカキなどの貝類に濃縮されることが知られている。

【科学技術論】
  科学技術が巨大化することにより抱える4つの問題:①実証性の虚構化、②研究費への依存性増大による特定領域への偏向、③研究の細分化と効率性追求による総合的視点の喪失、④影響の巨大化と研究の私的性格との間の矛盾
実証性の虚構化
  補足①-1 人間的な感覚を通した実験室での経験が、科学の実証性の重要な基礎である。
  補足①-2 大きなシステムでは、システムを構成する個別的な要素ごとに、実験室的に純化した条件下で基礎的な現象を解析し、要素から全体を再構成するという手法を取るが、システムが大きくなると再現性が悪くなるという問題がある。そこで、可能な限り実物に近いシステムをつくり実験と検証を重ねることが必要になる。ところが、原子炉の場合、燃料棒など実物を使うわけにいかない部分があり、これが従来の実証性を虚構化する要因になっている。
  補足①-3 科学的に装われた「故障確率」に注意せよ! 個々の部品の故障確率からシステム全体の故障確率を推計することは、部品の数が膨大になると、単なる数字の上でのゲームになりやすい。
研究費への依存性増大による特定領域への偏向
  補足② いかに名声があり偉大な科学者であっても、国家的なプロジェクトの目的に異議をとなえ影響を与え得た科学者はいなかった。それが可能なのは、普通の人たちの幅ひろい運動と世論に支えられた場合だけである。
研究の細分化と効率性追求による総合的視点の喪失
  補足③ 巨大科学技術は、それを担う人々を細分化した専門家に仕立てあげる。しかし、システム全体に対する総合的な視点、地球環境や未来に対する総合的視点と責任を見失ってはならない。
影響の巨大化と研究の私的性格との間の矛盾
  補足④ 科学者・技術者は、組織の中での仕事に携わることによって、その個人的な意図にはかかわらず、ある特定の社会的な役割を担わされる。そして仕事を推進させる原動力は、科学者の純粋で私的な探究心に他ならない。


【巨大システムに発生する事故の特徴】
  (1) 事故シナリオにはなかった想定外の些細な事象から、重大な事故は始まる。
  (2) 機械と機械、機械と人間の相互作用が、事故を連鎖的に拡大する。また、火災などによる共通要因事故も存在する。もし、安全審査の事故確率論が、個々の事象が独立である前提で計算しているなら、それは欺瞞である。注意せよ!
   (2.1) 重大事故を発生させる巨大システムに内在する特性:①諸機能間の複雑で高い相互作用性、②空間的近接性に起因する脆弱性、③遊びのない緊密性に起因する脆弱性、④機械と人間との間の複雑な相互作用性、⑤システムの複雑性に起因する予期せぬ相互作用性
    (補足④-1) 機械と人間との奇妙とも言えるような相互作用が、人間の判断ミスを誘い、事故を重大化させる。
    (補足④-2) 現代の巨大システムは自動制御されているが、異常発生時には人間の判断と操作が必要となり、人間の判断ミスを誘う。
    (補足④-3) ヒューマン・エラーの種類(認知のミス、誤判断、記憶違い、忘れ、動作のミス)とエラーを生み出す要因(注意の狭小化、認識上のゆがみ、覚醒度、ストレスとプレッシャー)
  (3) 事故の遠因は日常に潜んでいる。経済状況、税法、規制法制等の社会状況、組織の経営理念、企業文化、管理体制等々。
  (4) 事故において、最後の砦となる決定的役割を演じるのは人間である。

【重大事故を防ぐ方法は、あるだろうか?】
(1) パッシブ・セーフティ:異常が発生したとき、人為的で動的な介入ではなく、重力とか熱移動など間違いなく作用する自然法則に依拠した安全性が働くようなシステムなら、うまくいくかもしれない。
(2) 管制室の設計は、人と機械との相互作用を考慮して、必要とする情報が、適切な場所に、読み取るのに分かりやすい方法で、表示される必要がある。


(以下、出典:なぜ脱原発?原子力資料情報室(CNIC)
原子力に頼らない社会をめざす「10の理由」
脱原発とは、その名の通り「原発(原子力発電所)のある社会から脱け出すこと」。でも、私たちはなぜ、脱原発を目指さなければならないのでしょうか。数ある答えの中でもCNICが特に重要と考える、脱原発の「10の理由」をお話します。
1. 放射能災害の危険性がある。
 原子核の核分裂反応を利用して電気をつくる原発では、反応のコントロールに失敗するとチェルノブイリ原発で起きたような爆発事故が発生します。また原子炉を冷やすことに失敗すれば、福島原発で起きたようなメルトダウン事故も起きてしまいます。これら原発の大事故は、寿命の長い放射能を大量に放出するため影響が長く続き、甚大な放射能災害をもたらします。このまま原発の運転を続ければ、地震や津波、人為的ミスなどさまざまな原因によって、またいつ次の大事故が起きても不思議ではありません。」
(補足1)核技術は、46億年かけて育まれたこの地球の環境には存在しなかった物質を、つくり出してしまう。
(補足2)この地球のあらゆる循環と生命の営みの原理である化学反応の世界よりも、100万倍も強い力の世界が核反応の世界だ。それは、一歩間違えれば、もはややり直しがきかないような事故のリスクを抱えている。
(補足3)人間は全知全能ではあり得ないから、必ず間違いや事故の可能性がある。したがって、試行錯誤や、やり直しが許されないような技術は、廃棄すべきである。宇宙開発、化学物質の製造、遺伝子組換えも、同様の観点での検証が必要だ。

【事故の種類】
(1) 冷却材喪失事故(空炊き事故):その原因 ①配管の大破断 ②水漏れ ③金属劣化による釜の破壊 ④停電による送水停止
(2) 反応度事故
(3) 臨界事故
  (補足)臨界事故の恐怖

2.放射性廃棄物という「負の遺産」を発生させる。
 もし仮に大事故は防げたとしても、原発を動かしている限り、さまざまな放射能のごみが大量に発生し続けます。それら放射性廃棄物の中には10万年以上も隔離が必要なものも存在し、このままでは後世にゆだねる「負の遺産」がますます増える一方です。未来の負担、子孫の負担を少しでも小さくすることを、私たちは真剣に考えなくてはいけません。」
(補足1)原発が、いかに巨大な量の放射能を蓄えているかを理解しておくこと。100万kW級の原発1基は、1日で広島型原爆3発分、年間700~1000発分の核反応に相当する。
(補足2)放射性廃棄物の管理を難しくする4つの理由(①毒性が非常に強い,②半減期が非常に長い,③発熱し続けるので小さくまとめられない,④化学的性質が違う多くの元素を含むので、処理や保管が難しい)
(補足2-1)放射性廃棄物が壊変して毒性のない元素になるには、数百万年の時間が必要となる。これは、人間に管理できる時間スケールだろうか?
(補足2-2)寿命の長い放射能を寿命の短いものにしてしまうとか、放射能のないものに変えてしまうという試みは、成功していない。すなわち、原子力の火は、つけることはできるが、消したいときに消せない火なのだ。
3.核拡散の危険性がある。
 原発も原爆も燃料は同じで、「ウラン」または「プルトニウム」です。原発の燃料である「低濃縮ウラン」をつくる作業を繰り返せば、原爆の燃料である「高濃縮ウラン」は容易に手に入ってしまいますし、また原発の使用済み燃料に含まれる「プルトニウム」は再処理工場で取り出すことが可能です。したがって原子力発電を続ける限り、新たに「核兵器国になろう」とする国や、「高濃縮ウランやプルトニウムを奪って核爆弾をつくろう」とする集団が現れることを防げません。またこれらの動きを封じ込める名目で「核管理社会」化が進めば、人権が制限され、危険を知るための情報も隠されて、充分な備えのないままに原発事故が起きてしまう可能性も否めません。
4.事故がなくても、労働者の被ばくをともなう。
 原発の中では、元請け-中請け-下請け-孫請け-ひ孫請けと何重にも差別された多くの労働者が働いています。そして被ばく全体の95パーセント以上が、「電力会社の社員以外」の人たちの身体で起きています(平常運転時)。
 原発だけでなく、ウランの鉱山使用済み燃料の再処理工場においても、大勢の人たちが放射線を浴びながら働いています。労働者の被ばくなくして、原発は動かないのです。
5.関連施設にも、大きな危険や問題がある。
 原子力発電では、ウラン鉱石を掘り出し燃料を製造する施設や、放射性廃棄物のあと始末をする施設など、いわゆる核燃料サイクルの関連施設が数多く必要となります。これらの施設も原発同様で、さまざまな事故の危険性を抱えており、労働者が被ばくし、また放射能のごみを大量に発生させています。
6.地域の自立や平和をそこなう。
 原発の立地自治体では、電源三法交付金などにより財政が一時的にうるおうため、これに依存することにより地域の経済的な自立が妨げられます。また、地域住民の間にそれまで存在しなかった「賛成」「反対」の対立を持ち込むことも、たいへん大きな問題です。
7.常に情報の隠ぺいやねつ造などが、つきまとう。
 原発をめぐる産・官・学の特定の関係者の間で「原子力ムラ」と呼ばれる風土が形成され、オープンな議論ができない環境ができあがっています。科学や技術の分野には批判的精神が不可欠ですが、研究費や人事を通してそれらが損なわれ、原子力の研究にかかわる大学や研究者には利益相反の疑いも生じています。
8.省エネルギーに逆行する。
 原子力自動車や原子力ストーブが存在しないように、原子力はほかのエネルギー源と違って、電気の形にしなくてはエネルギー利用ができません。しかも発電時のロスはきわめて大きく、発生した熱の65パーセント以上が温排水として海に捨てられてしまいます。また原発は、電力需要の変化に合わせて出力を変えられないため、出力調整用の発電所が必要となります。つまり原発を動かすために、火力、水力などの発電所が余分につくられてしまうのです。このように原子力はエネルギー源としてたいへん無駄が多く、省エネルギーに逆行する存在なのです。
9.実は、温暖化をすすめる。
 上で説明したように原発を増やせば、ほかの発電所も増えてしまいます。したがって原発が火力発電所よりもCO2を出さないとしても、原発のある社会では火力発電所も必要とするため、最終的にCO2を減らすことは叶わず温暖化を止めることもできません。それどころか、CO2の削減に最も効果的な「省エネルギー」に逆行する原発は、むしろ温暖化をすすめる存在です。原発に膨大な予算が注ぎ込まれることで、私たちの社会は、より有効な温暖化対策に使うべきお金を失っているのです。
10.実は、大停電を起こしやすい。
 大きな地震などがあると、多くの原発がいっせいに止まってしまうことがあります。そしていったん停止した原発は、再稼働するまでに多くの時間がかかります。また電力消費地から遠く離れた場所にしか建てられない原発には、長距離の送電が必要となります。そのため電圧や周波数の維持が困難になり、送電が止められてしまうこともあります。このように原発は、安定的な電力供給どころか、大停電につながる要因を数多く抱えています。原発の占める割合が大きいほど、止まれば大停電になりかねません。」
(出典:なぜ脱原発?原子力資料情報室(CNIC)


(出典:高木仁三郎の部屋
友へ―――高木仁三郎からの最後のメッセージ
 「「死が間近い」と覚悟したときに思ったことのひとつに、なるべく多くのメッセージを多様な形で多様な人々に残しておきたいということがありました。そんな一環として、私はこの間少なからぬ本を書き上げたり、また未完にして終わったりしました。
 未完にして終わってはならないもののひとつが、この今書いているメッセージ。仮に「偲ぶ会」を適当な時期にやってほしい、と遺言しました。そうである以上、それに向けた私からの最低限のメッセージも必要でしょう。
 まず皆さん、ほんとうに長いことありがとうございました。体制内のごく標準的な一科学者として一生を終わっても何の不思議もない人間を、多くの方たちが暖かい手を差しのべて鍛え直して呉れました。それによってとにかくも「反原発の市民科学者」としての一生を貫徹することができました。
 反原発に生きることは、苦しいこともありましたが、全国、全世界に真摯に生きる人々とともにあることと、歴史の大道に沿って歩んでいることの確信から来る喜びは、小さな困難などをはるかに超えるものとして、いつも私を前に向って進めてくれました。幸いにして私は、ライト・ライブリフッド賞を始め、いくつかの賞に恵まれることになりましたが、繰り返し言って来たように、多くの志を共にする人たちと分かち合うものとしての受賞でした。
 残念ながら、原子力最後の日は見ることができず、私の方が先に逝かねばならなくなりましたが、せめて「プルトニウム最後の日」くらいは、目にしたかったです。でもそれはもう時間の問題でしょう。すでにあらゆる事実が、私たちの主張が正しかったことを示しています。なお、楽観できないのは、この末期的症状の中で、巨大な事故や不正が原子力の世界を襲う危険でしょう。JCO事故からロシア原潜事故までのこの一年間を考えるとき、原子力時代の末期症状による大事故の危険と結局は放射性廃棄物が垂れ流しになっていくのではないかということに対する危惧の念は、今、先に逝ってしまう人間の心を最も悩ますものです。
 後に残る人々が、歴史を見通す透徹した知力と、大胆に現実に立ち向かう活発な行動力をもって、一刻も早く原子力の時代にピリオドをつけ、その賢明な終局に英知を結集されることを願ってやみません。私はどこかで、必ず、その皆さまの活動を見守っていることでしょう。
 私から一つだけ皆さんにお願いするとしたら、どうか今日を悲しい日にしないでください。
 泣き声や泣き顔は、私にはふさわしくありません。
 今日は、脱原発、反原発、そしてより平和で持続的な未来に向っての、心新たな誓いの日、スタートの楽しい日にして皆で楽しみましょう。高木仁三郎というバカな奴もいたなと、ちょっぴり思い出してくれながら、核のない社会に向けて、皆が楽しく夢を語る。そんな日にしましょう。
 いつまでも皆さんとともに
                     高木 仁三郎
 世紀末にあたり、新しい世紀をのぞみつつ」
(高木仁三郎(1938-2000)『高木仁三郎著作集 第四巻 プルートーンの火』未公刊資料 友へ―――高木仁三郎からの最後のメッセージ、pp.672-674)

高木仁三郎(1938-2000、物理学、核化学)
原子力資料情報室(CNIC)
Citizens' Nuclear Information Center
認定NPO法人 高木仁三郎市民科学基金|THE TAKAGI FUND for CITIZEN SCIENCE
高木仁三郎の部屋
高木仁三郎の本(amazon)
検索(高木仁三郎)
ニュース(高木仁三郎)

高木仁三郎 略歴・業績Who's Whoarsvi.com立命館大学生存学研究センター

原子力市民委員会(2013-)
原子力市民委員会
Citizens' Commission on Nuclear Energy
原子力市民委員会 (@ccnejp) | Twitter
検索(原子力市民委員会)
ニュース(原子力市民委員会)

今後、数十年間、忘れないで注意する必要がある!

(出典:放射能汚染地図(八訂版)早川由紀夫の火山ブログ

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(出典:放射能汚染地図(八訂版)早川由紀夫の火山ブログ

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(出典:放射能汚染地図(八訂版)早川由紀夫の火山ブログ

(出典:放射能汚染地図(八訂版)早川由紀夫の火山ブログ

もし、ほんの少し運が悪ければどうなっていたか。決して忘れないこと!
 ※日本とチェルノブイリの汚染範囲が、同じ縮尺で描かれています。

(出典:放射能汚染地図(八訂版)早川由紀夫の火山ブログ



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テーマ : メンタルヘルス・心理学
ジャンル : 心と身体

脱原発・基本命題集 高木仁三郎かく語りき (30)プルトニウムは、ある種の紅藻(ノリなど)、褐藻(ワカメなど)、ホタテガイやカキなどの貝類に濃縮されることが知られている。

 脱原発に生涯を尽くした科学者がいました。高木仁三郎(1938-2000、物理学、核化学)。なぜ脱原発なのか、忘れてはならない彼の言葉を、ご紹介します。個人的利害や社会的立場、思想・信条や好き嫌いなど趣味の違いを超えて、日本と世界の未来を真剣に考えようとする人にとっては、必ず知っておくべき基本命題集です。

【プルトニウムは、ある種の紅藻(ノリなど)、褐藻(ワカメなど)、ホタテガイやカキなどの貝類に濃縮されることが知られている。】
 プルトニウムが自然環境中に多量に拡散していきつつあるのは、否定できない事実である。そして、特定の生物は、化学的性質が似ているために、特定の放射性物質を自分にとって必要な元素と勘違いして濃縮していく。プルトニウムについては、以下の生物に濃縮していることが知られている:ある種の紅藻(ノリなど)、褐藻(ワカメなど)、ホタテガイやカキなどの貝類。
 「このように、プルトニウムが自然環境中に多量に拡散していきつつあるのは、否定できない事実です。ところが、その汚染の影響をいっそう大きくするような効果が自然界には存在するのです。それは、生物による放射性物質の濃縮という現象です。生物は、自然界にわずかにしか存在しないような元素でも、それが、自分にとって必要なものならば、自分の体の中にどんどんためこんでいく性質をもっています。そのため、ある種の重金属が、通常の自然界の濃度からみたら信じられないくらいの高濃度で、特定の生物に含まれていることがあります。それとともに、化学的性質が似ている元素が、本来その生物に無益なものであっても、驚くほど、濃縮されるということもあります。
 プルトニウムがどんな生物に濃縮されるかということについては、今のところ充分な研究は進んでいません。一部の野菜などにも濃縮される、という説もありますが、はっきりしたことは分かりません。濃縮がはっきりしているのは、海藻やその他の海洋生物です。ある種の紅藻(ノリなど)や褐藻(ワカメなど)では、海水中のプルトニウムの濃度に比べて、二〇〇〇倍から三〇〇〇倍もプルトニウムが濃縮していたことが報告されているし、一般にすべての海藻類はプルトニウムを濃縮するようです。また、ホタテガイやカキなどの貝類、ヒトデなども一〇〇倍から一〇〇〇倍濃縮することが知られています。水俣病の悲惨な例にみられたように、これらの生物を継続的に食べ続けると、プルトニウムが人体にたまり続け、予想もされなかったような深刻な障害を起こすかもしれません。」
(高木仁三郎(1938-2000)『高木仁三郎著作集 第四巻 プルートーンの火』プルートーンの火 第4章 迫り来る危険、p.95)


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 さて、まとめとして、ご紹介した高木仁三郎の言葉を、下記に一覧化しておきましょう。
また特に、一部の命題は、高木仁三郎の遺志を継ぐ原子力資料情報室(CNIC)の、とてもコンパクトで分かりやすくまとめられた「なぜ脱原発?」に、追記しておきます。

【地球はすでに汚染されている】
 (1) 海底に積っている泥の、最上層一ミリメートルぐらいの表層は、物凄く放射能が強い。
 (2) 非常に特殊なアイソトープであるはずのプルトニウム-二三九や二三八が、今では地上のどこでも検出される。
 (3) プルトニウムは、ある種の紅藻(ノリなど)、褐藻(ワカメなど)、ホタテガイやカキなどの貝類に濃縮されることが知られている。

【科学技術論】
  科学技術が巨大化することにより抱える4つの問題:①実証性の虚構化、②研究費への依存性増大による特定領域への偏向、③研究の細分化と効率性追求による総合的視点の喪失、④影響の巨大化と研究の私的性格との間の矛盾
実証性の虚構化
  補足①-1 人間的な感覚を通した実験室での経験が、科学の実証性の重要な基礎である。
  補足①-2 大きなシステムでは、システムを構成する個別的な要素ごとに、実験室的に純化した条件下で基礎的な現象を解析し、要素から全体を再構成するという手法を取るが、システムが大きくなると再現性が悪くなるという問題がある。そこで、可能な限り実物に近いシステムをつくり実験と検証を重ねることが必要になる。ところが、原子炉の場合、燃料棒など実物を使うわけにいかない部分があり、これが従来の実証性を虚構化する要因になっている。
  補足①-3 科学的に装われた「故障確率」に注意せよ! 個々の部品の故障確率からシステム全体の故障確率を推計することは、部品の数が膨大になると、単なる数字の上でのゲームになりやすい。
研究費への依存性増大による特定領域への偏向
  補足② いかに名声があり偉大な科学者であっても、国家的なプロジェクトの目的に異議をとなえ影響を与え得た科学者はいなかった。それが可能なのは、普通の人たちの幅ひろい運動と世論に支えられた場合だけである。
研究の細分化と効率性追求による総合的視点の喪失
  補足③ 巨大科学技術は、それを担う人々を細分化した専門家に仕立てあげる。しかし、システム全体に対する総合的な視点、地球環境や未来に対する総合的視点と責任を見失ってはならない。
影響の巨大化と研究の私的性格との間の矛盾
  補足④ 科学者・技術者は、組織の中での仕事に携わることによって、その個人的な意図にはかかわらず、ある特定の社会的な役割を担わされる。そして仕事を推進させる原動力は、科学者の純粋で私的な探究心に他ならない。


【巨大システムに発生する事故の特徴】
  (1) 事故シナリオにはなかった想定外の些細な事象から、重大な事故は始まる。
  (2) 機械と機械、機械と人間の相互作用が、事故を連鎖的に拡大する。また、火災などによる共通要因事故も存在する。もし、安全審査の事故確率論が、個々の事象が独立である前提で計算しているなら、それは欺瞞である。注意せよ!
   (2.1) 重大事故を発生させる巨大システムに内在する特性:①諸機能間の複雑で高い相互作用性、②空間的近接性に起因する脆弱性、③遊びのない緊密性に起因する脆弱性、④機械と人間との間の複雑な相互作用性、⑤システムの複雑性に起因する予期せぬ相互作用性
    (補足④-1) 機械と人間との奇妙とも言えるような相互作用が、人間の判断ミスを誘い、事故を重大化させる。
    (補足④-2) 現代の巨大システムは自動制御されているが、異常発生時には人間の判断と操作が必要となり、人間の判断ミスを誘う。
  (3) 事故の遠因は日常に潜んでいる。経済状況、税法、規制法制等の社会状況、組織の経営理念、企業文化、管理体制等々。
  (4) 事故において、最後の砦となる決定的役割を演じるのは人間である。

【重大事故を防ぐ方法は、あるだろうか?】
  (1)パッシブ・セーフティ:異常が発生したとき、人為的で動的な介入ではなく、重力とか熱移動など間違いなく作用する自然法則に依拠した安全性が働くようなシステムなら、うまくいくかもしれない。
(2) 管制室の設計は、人と機械との相互作用を考慮して、必要とする情報が、適切な場所に、読み取るのに分かりやすい方法で、表示される必要がある。


(以下、出典:なぜ脱原発?原子力資料情報室(CNIC)
原子力に頼らない社会をめざす「10の理由」
脱原発とは、その名の通り「原発(原子力発電所)のある社会から脱け出すこと」。でも、私たちはなぜ、脱原発を目指さなければならないのでしょうか。数ある答えの中でもCNICが特に重要と考える、脱原発の「10の理由」をお話します。
1. 放射能災害の危険性がある。
 原子核の核分裂反応を利用して電気をつくる原発では、反応のコントロールに失敗するとチェルノブイリ原発で起きたような爆発事故が発生します。また原子炉を冷やすことに失敗すれば、福島原発で起きたようなメルトダウン事故も起きてしまいます。これら原発の大事故は、寿命の長い放射能を大量に放出するため影響が長く続き、甚大な放射能災害をもたらします。このまま原発の運転を続ければ、地震や津波、人為的ミスなどさまざまな原因によって、またいつ次の大事故が起きても不思議ではありません。」
(補足1)核技術は、46億年かけて育まれたこの地球の環境には存在しなかった物質を、つくり出してしまう。
(補足2)この地球のあらゆる循環と生命の営みの原理である化学反応の世界よりも、100万倍も強い力の世界が核反応の世界だ。それは、一歩間違えれば、もはややり直しがきかないような事故のリスクを抱えている。
(補足3)人間は全知全能ではあり得ないから、必ず間違いや事故の可能性がある。したがって、試行錯誤や、やり直しが許されないような技術は、廃棄すべきである。宇宙開発、化学物質の製造、遺伝子組換えも、同様の観点での検証が必要だ。

【事故の種類】
(1) 冷却材喪失事故(空炊き事故):その原因 ①配管の大破断 ②水漏れ ③金属劣化による釜の破壊 ④停電による送水停止
(2) 反応度事故
(3) 臨界事故
  (補足)臨界事故の恐怖

2.放射性廃棄物という「負の遺産」を発生させる。
 もし仮に大事故は防げたとしても、原発を動かしている限り、さまざまな放射能のごみが大量に発生し続けます。それら放射性廃棄物の中には10万年以上も隔離が必要なものも存在し、このままでは後世にゆだねる「負の遺産」がますます増える一方です。未来の負担、子孫の負担を少しでも小さくすることを、私たちは真剣に考えなくてはいけません。」
(補足1)原発が、いかに巨大な量の放射能を蓄えているかを理解しておくこと。100万kW級の原発1基は、1日で広島型原爆3発分、年間700~1000発分の核反応に相当する。
(補足2)放射性廃棄物の管理を難しくする4つの理由(①毒性が非常に強い,②半減期が非常に長い,③発熱し続けるので小さくまとめられない,④化学的性質が違う多くの元素を含むので、処理や保管が難しい)
(補足2-1)放射性廃棄物が壊変して毒性のない元素になるには、数百万年の時間が必要となる。これは、人間に管理できる時間スケールだろうか?
(補足2-2)寿命の長い放射能を寿命の短いものにしてしまうとか、放射能のないものに変えてしまうという試みは、成功していない。すなわち、原子力の火は、つけることはできるが、消したいときに消せない火なのだ。
3.核拡散の危険性がある。
 原発も原爆も燃料は同じで、「ウラン」または「プルトニウム」です。原発の燃料である「低濃縮ウラン」をつくる作業を繰り返せば、原爆の燃料である「高濃縮ウラン」は容易に手に入ってしまいますし、また原発の使用済み燃料に含まれる「プルトニウム」は再処理工場で取り出すことが可能です。したがって原子力発電を続ける限り、新たに「核兵器国になろう」とする国や、「高濃縮ウランやプルトニウムを奪って核爆弾をつくろう」とする集団が現れることを防げません。またこれらの動きを封じ込める名目で「核管理社会」化が進めば、人権が制限され、危険を知るための情報も隠されて、充分な備えのないままに原発事故が起きてしまう可能性も否めません。
4.事故がなくても、労働者の被ばくをともなう。
 原発の中では、元請け-中請け-下請け-孫請け-ひ孫請けと何重にも差別された多くの労働者が働いています。そして被ばく全体の95パーセント以上が、「電力会社の社員以外」の人たちの身体で起きています(平常運転時)。
 原発だけでなく、ウランの鉱山使用済み燃料の再処理工場においても、大勢の人たちが放射線を浴びながら働いています。労働者の被ばくなくして、原発は動かないのです。
5.関連施設にも、大きな危険や問題がある。
 原子力発電では、ウラン鉱石を掘り出し燃料を製造する施設や、放射性廃棄物のあと始末をする施設など、いわゆる核燃料サイクルの関連施設が数多く必要となります。これらの施設も原発同様で、さまざまな事故の危険性を抱えており、労働者が被ばくし、また放射能のごみを大量に発生させています。
6.地域の自立や平和をそこなう。
 原発の立地自治体では、電源三法交付金などにより財政が一時的にうるおうため、これに依存することにより地域の経済的な自立が妨げられます。また、地域住民の間にそれまで存在しなかった「賛成」「反対」の対立を持ち込むことも、たいへん大きな問題です。
7.常に情報の隠ぺいやねつ造などが、つきまとう。
 原発をめぐる産・官・学の特定の関係者の間で「原子力ムラ」と呼ばれる風土が形成され、オープンな議論ができない環境ができあがっています。科学や技術の分野には批判的精神が不可欠ですが、研究費や人事を通してそれらが損なわれ、原子力の研究にかかわる大学や研究者には利益相反の疑いも生じています。
8.省エネルギーに逆行する。
 原子力自動車や原子力ストーブが存在しないように、原子力はほかのエネルギー源と違って、電気の形にしなくてはエネルギー利用ができません。しかも発電時のロスはきわめて大きく、発生した熱の65パーセント以上が温排水として海に捨てられてしまいます。また原発は、電力需要の変化に合わせて出力を変えられないため、出力調整用の発電所が必要となります。つまり原発を動かすために、火力、水力などの発電所が余分につくられてしまうのです。このように原子力はエネルギー源としてたいへん無駄が多く、省エネルギーに逆行する存在なのです。
9.実は、温暖化をすすめる。
 上で説明したように原発を増やせば、ほかの発電所も増えてしまいます。したがって原発が火力発電所よりもCO2を出さないとしても、原発のある社会では火力発電所も必要とするため、最終的にCO2を減らすことは叶わず温暖化を止めることもできません。それどころか、CO2の削減に最も効果的な「省エネルギー」に逆行する原発は、むしろ温暖化をすすめる存在です。原発に膨大な予算が注ぎ込まれることで、私たちの社会は、より有効な温暖化対策に使うべきお金を失っているのです。
10.実は、大停電を起こしやすい。
 大きな地震などがあると、多くの原発がいっせいに止まってしまうことがあります。そしていったん停止した原発は、再稼働するまでに多くの時間がかかります。また電力消費地から遠く離れた場所にしか建てられない原発には、長距離の送電が必要となります。そのため電圧や周波数の維持が困難になり、送電が止められてしまうこともあります。このように原発は、安定的な電力供給どころか、大停電につながる要因を数多く抱えています。原発の占める割合が大きいほど、止まれば大停電になりかねません。」
(出典:なぜ脱原発?原子力資料情報室(CNIC)


(出典:高木仁三郎の部屋
友へ―――高木仁三郎からの最後のメッセージ
 「「死が間近い」と覚悟したときに思ったことのひとつに、なるべく多くのメッセージを多様な形で多様な人々に残しておきたいということがありました。そんな一環として、私はこの間少なからぬ本を書き上げたり、また未完にして終わったりしました。
 未完にして終わってはならないもののひとつが、この今書いているメッセージ。仮に「偲ぶ会」を適当な時期にやってほしい、と遺言しました。そうである以上、それに向けた私からの最低限のメッセージも必要でしょう。
 まず皆さん、ほんとうに長いことありがとうございました。体制内のごく標準的な一科学者として一生を終わっても何の不思議もない人間を、多くの方たちが暖かい手を差しのべて鍛え直して呉れました。それによってとにかくも「反原発の市民科学者」としての一生を貫徹することができました。
 反原発に生きることは、苦しいこともありましたが、全国、全世界に真摯に生きる人々とともにあることと、歴史の大道に沿って歩んでいることの確信から来る喜びは、小さな困難などをはるかに超えるものとして、いつも私を前に向って進めてくれました。幸いにして私は、ライト・ライブリフッド賞を始め、いくつかの賞に恵まれることになりましたが、繰り返し言って来たように、多くの志を共にする人たちと分かち合うものとしての受賞でした。
 残念ながら、原子力最後の日は見ることができず、私の方が先に逝かねばならなくなりましたが、せめて「プルトニウム最後の日」くらいは、目にしたかったです。でもそれはもう時間の問題でしょう。すでにあらゆる事実が、私たちの主張が正しかったことを示しています。なお、楽観できないのは、この末期的症状の中で、巨大な事故や不正が原子力の世界を襲う危険でしょう。JCO事故からロシア原潜事故までのこの一年間を考えるとき、原子力時代の末期症状による大事故の危険と結局は放射性廃棄物が垂れ流しになっていくのではないかということに対する危惧の念は、今、先に逝ってしまう人間の心を最も悩ますものです。
 後に残る人々が、歴史を見通す透徹した知力と、大胆に現実に立ち向かう活発な行動力をもって、一刻も早く原子力の時代にピリオドをつけ、その賢明な終局に英知を結集されることを願ってやみません。私はどこかで、必ず、その皆さまの活動を見守っていることでしょう。
 私から一つだけ皆さんにお願いするとしたら、どうか今日を悲しい日にしないでください。
 泣き声や泣き顔は、私にはふさわしくありません。
 今日は、脱原発、反原発、そしてより平和で持続的な未来に向っての、心新たな誓いの日、スタートの楽しい日にして皆で楽しみましょう。高木仁三郎というバカな奴もいたなと、ちょっぴり思い出してくれながら、核のない社会に向けて、皆が楽しく夢を語る。そんな日にしましょう。
 いつまでも皆さんとともに
                     高木 仁三郎
 世紀末にあたり、新しい世紀をのぞみつつ」
(高木仁三郎(1938-2000)『高木仁三郎著作集 第四巻 プルートーンの火』未公刊資料 友へ―――高木仁三郎からの最後のメッセージ、pp.672-674)

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もし、ほんの少し運が悪ければどうなっていたか。決して忘れないこと!
 ※日本とチェルノブイリの汚染範囲が、同じ縮尺で描かれています。

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脱原発・基本命題集 高木仁三郎かく語りき (29)非常に特殊なアイソトープであるはずのプルトニウム-二三九や二三八が、今では地上のどこでも検出される。

 脱原発に生涯を尽くした科学者がいました。高木仁三郎(1938-2000、物理学、核化学)。なぜ脱原発なのか、忘れてはならない彼の言葉を、ご紹介します。個人的利害や社会的立場、思想・信条や好き嫌いなど趣味の違いを超えて、日本と世界の未来を真剣に考えようとする人にとっては、必ず知っておくべき基本命題集です。

【非常に特殊なアイソトープであるはずのプルトニウム-二三九や二三八が、今では地上のどこでも検出される。】
 非常に特殊なアイソトープであるはずのプルトニウム-二三九二三八が、今では地上のどこでも検出される。大気圏内核実験とくに米ソが中止する前の六〇年代初期に繰りかえされた実験によって、およそ三〇万キュリー(約五トン)のプルトニウムが地上にまきちらされたのである。
 「非常に特殊なアイソトープであるはずのプルトニウム-二三九や二三八が、今では地上のどこでも検出される。大気圏内核実験とくに米ソが中止する前の六〇年代初期に繰りかえされた実験によって、およそ三〇万キュリー(約五トン)のプルトニウムが地上にまきちらされたのである。これによって、今でも北半球を中心に一平方キロあたり〇・一~数ミリキュリーのプルトニウム-二三九による汚染が観測されている。さらに、SNAP衛星によるプルトニウム-二三八の汚染もこれに加わった。(プルトニウム-二三八の放射能汚染レベルは一般に二三九より一桁低い。)
 当然のことながら、一〇〇〇立方メートルあたり〇・一ピコキュリー以下程度の空気の汚染も観測されている。もちろんこれらの濃度は、許容濃度に比べれば、二桁以上低いということになるだろう。しかし、それが「まだまだ余裕は十分ある」と安心していられることだろうか。一度生まれたプルトニウムは、ほとんど永久に残り続ける。さらに、「許容濃度」そのものが歴史とともに下がったらどうなるのか。カリフォルニア大学のゴフマンのように、現状でも核実験によってまきちらされたプルトニウムは、年々、世界で一万人の肺ガンを生じさせている、とさえ言う人もいるのである。
 しかし、核実験による汚染は、皮肉なことにある種の人びとに「この程度の汚染は大丈夫だ」という「確信」を呼び、かえってプルトニウム利用を推し進める結果とすらなったようだ。」
(高木仁三郎(1938-2000)『高木仁三郎著作集 第四巻 プルートーンの火』プルトニウムの恐怖 第4章 核文明のジレンマ、pp.216-217)



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 さて、まとめとして、ご紹介した高木仁三郎の言葉を、下記に一覧化しておきましょう。
また特に、一部の命題は、高木仁三郎の遺志を継ぐ原子力資料情報室(CNIC)の、とてもコンパクトで分かりやすくまとめられた「なぜ脱原発?」に、追記しておきます。

【地球はすでに汚染されている】
 (1) 海底に積っている泥の、最上層一ミリメートルぐらいの表層は、物凄く放射能が強い。
 (2) 非常に特殊なアイソトープであるはずのプルトニウム-二三九や二三八が、今では地上のどこでも検出される。

【科学技術論】
  科学技術が巨大化することにより抱える4つの問題:①実証性の虚構化、②研究費への依存性増大による特定領域への偏向、③研究の細分化と効率性追求による総合的視点の喪失、④影響の巨大化と研究の私的性格との間の矛盾
実証性の虚構化
  補足①-1 人間的な感覚を通した実験室での経験が、科学の実証性の重要な基礎である。
  補足①-2 大きなシステムでは、システムを構成する個別的な要素ごとに、実験室的に純化した条件下で基礎的な現象を解析し、要素から全体を再構成するという手法を取るが、システムが大きくなると再現性が悪くなるという問題がある。そこで、可能な限り実物に近いシステムをつくり実験と検証を重ねることが必要になる。ところが、原子炉の場合、燃料棒など実物を使うわけにいかない部分があり、これが従来の実証性を虚構化する要因になっている。
  補足①-3 科学的に装われた「故障確率」に注意せよ! 個々の部品の故障確率からシステム全体の故障確率を推計することは、部品の数が膨大になると、単なる数字の上でのゲームになりやすい。
研究費への依存性増大による特定領域への偏向
  補足② いかに名声があり偉大な科学者であっても、国家的なプロジェクトの目的に異議をとなえ影響を与え得た科学者はいなかった。それが可能なのは、普通の人たちの幅ひろい運動と世論に支えられた場合だけである。
研究の細分化と効率性追求による総合的視点の喪失
  補足③ 巨大科学技術は、それを担う人々を細分化した専門家に仕立てあげる。しかし、システム全体に対する総合的な視点、地球環境や未来に対する総合的視点と責任を見失ってはならない。
影響の巨大化と研究の私的性格との間の矛盾
  補足④ 科学者・技術者は、組織の中での仕事に携わることによって、その個人的な意図にはかかわらず、ある特定の社会的な役割を担わされる。そして仕事を推進させる原動力は、科学者の純粋で私的な探究心に他ならない。


【巨大システムに発生する事故の特徴】
  (1) 事故シナリオにはなかった想定外の些細な事象から、重大な事故は始まる。
  (2) 機械と機械、機械と人間の相互作用が、事故を連鎖的に拡大する。また、火災などによる共通要因事故も存在する。もし、安全審査の事故確率論が、個々の事象が独立である前提で計算しているなら、それは欺瞞である。注意せよ!
   (2.1) 重大事故を発生させる巨大システムに内在する特性:①諸機能間の複雑で高い相互作用性、②空間的近接性に起因する脆弱性、③遊びのない緊密性に起因する脆弱性、④機械と人間との間の複雑な相互作用性、⑤システムの複雑性に起因する予期せぬ相互作用性
    (補足④-1) 機械と人間との奇妙とも言えるような相互作用が、人間の判断ミスを誘い、事故を重大化させる。
    (補足④-2) 現代の巨大システムは自動制御されているが、異常発生時には人間の判断と操作が必要となり、人間の判断ミスを誘う。
  (3) 事故の遠因は日常に潜んでいる。経済状況、税法、規制法制等の社会状況、組織の経営理念、企業文化、管理体制等々。
  (4) 事故において、最後の砦となる決定的役割を演じるのは人間である。

【重大事故を防ぐ方法は、あるだろうか?】
  (1)パッシブ・セーフティ:異常が発生したとき、人為的で動的な介入ではなく、重力とか熱移動など間違いなく作用する自然法則に依拠した安全性が働くようなシステムなら、うまくいくかもしれない。
(2) 管制室の設計は、人と機械との相互作用を考慮して、必要とする情報が、適切な場所に、読み取るのに分かりやすい方法で、表示される必要がある。


(以下、出典:なぜ脱原発?原子力資料情報室(CNIC)
原子力に頼らない社会をめざす「10の理由」
脱原発とは、その名の通り「原発(原子力発電所)のある社会から脱け出すこと」。でも、私たちはなぜ、脱原発を目指さなければならないのでしょうか。数ある答えの中でもCNICが特に重要と考える、脱原発の「10の理由」をお話します。
1. 放射能災害の危険性がある。
 原子核の核分裂反応を利用して電気をつくる原発では、反応のコントロールに失敗するとチェルノブイリ原発で起きたような爆発事故が発生します。また原子炉を冷やすことに失敗すれば、福島原発で起きたようなメルトダウン事故も起きてしまいます。これら原発の大事故は、寿命の長い放射能を大量に放出するため影響が長く続き、甚大な放射能災害をもたらします。このまま原発の運転を続ければ、地震や津波、人為的ミスなどさまざまな原因によって、またいつ次の大事故が起きても不思議ではありません。」
(補足1)核技術は、46億年かけて育まれたこの地球の環境には存在しなかった物質を、つくり出してしまう。
(補足2)この地球のあらゆる循環と生命の営みの原理である化学反応の世界よりも、100万倍も強い力の世界が核反応の世界だ。それは、一歩間違えれば、もはややり直しがきかないような事故のリスクを抱えている。
(補足3)人間は全知全能ではあり得ないから、必ず間違いや事故の可能性がある。したがって、試行錯誤や、やり直しが許されないような技術は、廃棄すべきである。宇宙開発、化学物質の製造、遺伝子組換えも、同様の観点での検証が必要だ。

【事故の種類】
(1) 冷却材喪失事故(空炊き事故):その原因 ①配管の大破断 ②水漏れ ③金属劣化による釜の破壊 ④停電による送水停止
(2) 反応度事故
(3) 臨界事故
  (補足)臨界事故の恐怖

2.放射性廃棄物という「負の遺産」を発生させる。
 もし仮に大事故は防げたとしても、原発を動かしている限り、さまざまな放射能のごみが大量に発生し続けます。それら放射性廃棄物の中には10万年以上も隔離が必要なものも存在し、このままでは後世にゆだねる「負の遺産」がますます増える一方です。未来の負担、子孫の負担を少しでも小さくすることを、私たちは真剣に考えなくてはいけません。」
(補足1)原発が、いかに巨大な量の放射能を蓄えているかを理解しておくこと。100万kW級の原発1基は、1日で広島型原爆3発分、年間700~1000発分の核反応に相当する。
(補足2)放射性廃棄物の管理を難しくする4つの理由(①毒性が非常に強い,②半減期が非常に長い,③発熱し続けるので小さくまとめられない,④化学的性質が違う多くの元素を含むので、処理や保管が難しい)
(補足2-1)放射性廃棄物が壊変して毒性のない元素になるには、数百万年の時間が必要となる。これは、人間に管理できる時間スケールだろうか?
(補足2-2)寿命の長い放射能を寿命の短いものにしてしまうとか、放射能のないものに変えてしまうという試みは、成功していない。すなわち、原子力の火は、つけることはできるが、消したいときに消せない火なのだ。
3.核拡散の危険性がある。
 原発も原爆も燃料は同じで、「ウラン」または「プルトニウム」です。原発の燃料である「低濃縮ウラン」をつくる作業を繰り返せば、原爆の燃料である「高濃縮ウラン」は容易に手に入ってしまいますし、また原発の使用済み燃料に含まれる「プルトニウム」は再処理工場で取り出すことが可能です。したがって原子力発電を続ける限り、新たに「核兵器国になろう」とする国や、「高濃縮ウランやプルトニウムを奪って核爆弾をつくろう」とする集団が現れることを防げません。またこれらの動きを封じ込める名目で「核管理社会」化が進めば、人権が制限され、危険を知るための情報も隠されて、充分な備えのないままに原発事故が起きてしまう可能性も否めません。
4.事故がなくても、労働者の被ばくをともなう。
 原発の中では、元請け-中請け-下請け-孫請け-ひ孫請けと何重にも差別された多くの労働者が働いています。そして被ばく全体の95パーセント以上が、「電力会社の社員以外」の人たちの身体で起きています(平常運転時)。
 原発だけでなく、ウランの鉱山使用済み燃料の再処理工場においても、大勢の人たちが放射線を浴びながら働いています。労働者の被ばくなくして、原発は動かないのです。
5.関連施設にも、大きな危険や問題がある。
 原子力発電では、ウラン鉱石を掘り出し燃料を製造する施設や、放射性廃棄物のあと始末をする施設など、いわゆる核燃料サイクルの関連施設が数多く必要となります。これらの施設も原発同様で、さまざまな事故の危険性を抱えており、労働者が被ばくし、また放射能のごみを大量に発生させています。
6.地域の自立や平和をそこなう。
 原発の立地自治体では、電源三法交付金などにより財政が一時的にうるおうため、これに依存することにより地域の経済的な自立が妨げられます。また、地域住民の間にそれまで存在しなかった「賛成」「反対」の対立を持ち込むことも、たいへん大きな問題です。
7.常に情報の隠ぺいやねつ造などが、つきまとう。
 原発をめぐる産・官・学の特定の関係者の間で「原子力ムラ」と呼ばれる風土が形成され、オープンな議論ができない環境ができあがっています。科学や技術の分野には批判的精神が不可欠ですが、研究費や人事を通してそれらが損なわれ、原子力の研究にかかわる大学や研究者には利益相反の疑いも生じています。
8.省エネルギーに逆行する。
 原子力自動車や原子力ストーブが存在しないように、原子力はほかのエネルギー源と違って、電気の形にしなくてはエネルギー利用ができません。しかも発電時のロスはきわめて大きく、発生した熱の65パーセント以上が温排水として海に捨てられてしまいます。また原発は、電力需要の変化に合わせて出力を変えられないため、出力調整用の発電所が必要となります。つまり原発を動かすために、火力、水力などの発電所が余分につくられてしまうのです。このように原子力はエネルギー源としてたいへん無駄が多く、省エネルギーに逆行する存在なのです。
9.実は、温暖化をすすめる。
 上で説明したように原発を増やせば、ほかの発電所も増えてしまいます。したがって原発が火力発電所よりもCO2を出さないとしても、原発のある社会では火力発電所も必要とするため、最終的にCO2を減らすことは叶わず温暖化を止めることもできません。それどころか、CO2の削減に最も効果的な「省エネルギー」に逆行する原発は、むしろ温暖化をすすめる存在です。原発に膨大な予算が注ぎ込まれることで、私たちの社会は、より有効な温暖化対策に使うべきお金を失っているのです。
10.実は、大停電を起こしやすい。
 大きな地震などがあると、多くの原発がいっせいに止まってしまうことがあります。そしていったん停止した原発は、再稼働するまでに多くの時間がかかります。また電力消費地から遠く離れた場所にしか建てられない原発には、長距離の送電が必要となります。そのため電圧や周波数の維持が困難になり、送電が止められてしまうこともあります。このように原発は、安定的な電力供給どころか、大停電につながる要因を数多く抱えています。原発の占める割合が大きいほど、止まれば大停電になりかねません。」
(出典:なぜ脱原発?原子力資料情報室(CNIC)


(出典:高木仁三郎の部屋
友へ―――高木仁三郎からの最後のメッセージ
 「「死が間近い」と覚悟したときに思ったことのひとつに、なるべく多くのメッセージを多様な形で多様な人々に残しておきたいということがありました。そんな一環として、私はこの間少なからぬ本を書き上げたり、また未完にして終わったりしました。
 未完にして終わってはならないもののひとつが、この今書いているメッセージ。仮に「偲ぶ会」を適当な時期にやってほしい、と遺言しました。そうである以上、それに向けた私からの最低限のメッセージも必要でしょう。
 まず皆さん、ほんとうに長いことありがとうございました。体制内のごく標準的な一科学者として一生を終わっても何の不思議もない人間を、多くの方たちが暖かい手を差しのべて鍛え直して呉れました。それによってとにかくも「反原発の市民科学者」としての一生を貫徹することができました。
 反原発に生きることは、苦しいこともありましたが、全国、全世界に真摯に生きる人々とともにあることと、歴史の大道に沿って歩んでいることの確信から来る喜びは、小さな困難などをはるかに超えるものとして、いつも私を前に向って進めてくれました。幸いにして私は、ライト・ライブリフッド賞を始め、いくつかの賞に恵まれることになりましたが、繰り返し言って来たように、多くの志を共にする人たちと分かち合うものとしての受賞でした。
 残念ながら、原子力最後の日は見ることができず、私の方が先に逝かねばならなくなりましたが、せめて「プルトニウム最後の日」くらいは、目にしたかったです。でもそれはもう時間の問題でしょう。すでにあらゆる事実が、私たちの主張が正しかったことを示しています。なお、楽観できないのは、この末期的症状の中で、巨大な事故や不正が原子力の世界を襲う危険でしょう。JCO事故からロシア原潜事故までのこの一年間を考えるとき、原子力時代の末期症状による大事故の危険と結局は放射性廃棄物が垂れ流しになっていくのではないかということに対する危惧の念は、今、先に逝ってしまう人間の心を最も悩ますものです。
 後に残る人々が、歴史を見通す透徹した知力と、大胆に現実に立ち向かう活発な行動力をもって、一刻も早く原子力の時代にピリオドをつけ、その賢明な終局に英知を結集されることを願ってやみません。私はどこかで、必ず、その皆さまの活動を見守っていることでしょう。
 私から一つだけ皆さんにお願いするとしたら、どうか今日を悲しい日にしないでください。
 泣き声や泣き顔は、私にはふさわしくありません。
 今日は、脱原発、反原発、そしてより平和で持続的な未来に向っての、心新たな誓いの日、スタートの楽しい日にして皆で楽しみましょう。高木仁三郎というバカな奴もいたなと、ちょっぴり思い出してくれながら、核のない社会に向けて、皆が楽しく夢を語る。そんな日にしましょう。
 いつまでも皆さんとともに
                     高木 仁三郎
 世紀末にあたり、新しい世紀をのぞみつつ」
(高木仁三郎(1938-2000)『高木仁三郎著作集 第四巻 プルートーンの火』未公刊資料 友へ―――高木仁三郎からの最後のメッセージ、pp.672-674)

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(出典:放射能汚染地図(八訂版)早川由紀夫の火山ブログ



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テーマ : 環境・資源・エネルギー
ジャンル : 政治・経済

脱原発・基本命題集 高木仁三郎かく語りき (28)地球はすでに汚染されている。海底の最上層一ミリメートルの表層は、物凄く急に放射能が強い。

 脱原発に生涯を尽くした科学者がいました。高木仁三郎(1938-2000、物理学、核化学)。なぜ脱原発なのか、忘れてはならない彼の言葉を、ご紹介します。個人的利害や社会的立場、思想・信条や好き嫌いなど趣味の違いを超えて、日本と世界の未来を真剣に考えようとする人にとっては、必ず知っておくべき基本命題集です。

【地球はすでに汚染されている。海底に積っている泥の、最上層一ミリメートルぐらいの表層は、物凄く放射能が強い。】
 太平洋の泥を一メートル取ってきて調べると、一番上の一ミリメートルぐらいの所で物凄く急に放射能が強くなる。アルプスの山から資料を取ってきても、南極から資料を取ってきても、南太平洋の底から資料を取ってきても、同じだ。
 「地球の昔に存在していた放射能が古い岩石の中などに今でも残っている。その残存している放射能を測るという仕事をしていました。弱い放射能を測る。しかし非常に古い資料から測る。非常に古い昔の何千万年もの前の岩石から測るとか、あるいは南太平洋の静かな海のほうに行きますと、海底の泥が一〇〇〇年に一ミリメートル位の割合でゆっくりと積っている。こういう泥を一メートルぐらい取って来ます。一メートル底といいますと一〇〇万年前の泥が積っているということになる。一〇メートル取ってきますと一〇〇〇万年前の事が分かる。船に乗って太平洋に出て行って、資料を取って、クジラなんか見ながら仕事しているというのはこれはなかなかいいものでね。会社のときは最後の頃は物凄く緊張に包まれていたものですから、もうホッとした感じがしていたんです。したがって、そのままだったら私は社会的な関心なんかはあまりなくなって、原子力問題なんて取り組まないで、普通の学者で終わっていただろうと思うのです。」
 「ところが、なかなかそうはいかなくなって、また、出来事が起こってしまったのです。というのは、この放射能を測っていると、今度は非常に弱い放射能を測る立場で、それこそガイガーカウンターでガリッと一ついうと、つぎにもう一度ガリッというまで相当待たなくてはならないぐらいゆっくりした放射能を測ることになったのです。私が狙っていたのは宇宙の昔、地球の昔の何百万年前か何千万年前ぐらいか、それくらい前にできた放射能を、昔の放射能を測ろうと狙っていたのですが、どこへ行っても、自然界から取ってきた資料を測ると、その表層というのはその放射能は物凄く高いのです。太平洋の泥を取ってきますと、一メートルのコアーと言って棒状の資料を取ってきます。ところが一番下のほうは確かに放射能は低いです。だんだんこう低くてね、一番上っかわの一ミリメートルぐらいの所にくると物凄く急に放射能が強くなるんです。これ、つまりですね、要するに人間が放射能を発見してから後、はっきりいえば原爆以降ですね。原爆以降核実験が盛んに行われるようになって死の灰が降り出した。その死の灰がアルプスの山から資料を取ってきても、南極から資料を取ってきても、南太平洋の底から資料を取ってきても、どこへ行ってもこの地球上で放射能が見付かってしまうのです。このほんの一皮なんですけど、これがもう人間の、いかにも人間の足跡であるというのがはっきりする。で、それに私はびっくりしてしまったのです。」
(高木仁三郎(1938-2000)『高木仁三郎著作集 第六巻 核の時代/エネルギー』核と人間、pp.374-375)


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 さて、まとめとして、ご紹介した高木仁三郎の言葉を、下記に一覧化しておきましょう。
また特に、一部の命題は、高木仁三郎の遺志を継ぐ原子力資料情報室(CNIC)の、とてもコンパクトで分かりやすくまとめられた「なぜ脱原発?」に、追記しておきます。

【地球はすでに汚染されている】
  海底に積っている泥の、最上層一ミリメートルぐらいの表層は、物凄く放射能が強い。

【科学技術論】
  科学技術が巨大化することにより抱える4つの問題:①実証性の虚構化、②研究費への依存性増大による特定領域への偏向、③研究の細分化と効率性追求による総合的視点の喪失、④影響の巨大化と研究の私的性格との間の矛盾
実証性の虚構化
  補足①-1 人間的な感覚を通した実験室での経験が、科学の実証性の重要な基礎である。
  補足①-2 大きなシステムでは、システムを構成する個別的な要素ごとに、実験室的に純化した条件下で基礎的な現象を解析し、要素から全体を再構成するという手法を取るが、システムが大きくなると再現性が悪くなるという問題がある。そこで、可能な限り実物に近いシステムをつくり実験と検証を重ねることが必要になる。ところが、原子炉の場合、燃料棒など実物を使うわけにいかない部分があり、これが従来の実証性を虚構化する要因になっている。
  補足①-3 科学的に装われた「故障確率」に注意せよ! 個々の部品の故障確率からシステム全体の故障確率を推計することは、部品の数が膨大になると、単なる数字の上でのゲームになりやすい。
研究費への依存性増大による特定領域への偏向
  補足② いかに名声があり偉大な科学者であっても、国家的なプロジェクトの目的に異議をとなえ影響を与え得た科学者はいなかった。それが可能なのは、普通の人たちの幅ひろい運動と世論に支えられた場合だけである。
研究の細分化と効率性追求による総合的視点の喪失
  補足③ 巨大科学技術は、それを担う人々を細分化した専門家に仕立てあげる。しかし、システム全体に対する総合的な視点、地球環境や未来に対する総合的視点と責任を見失ってはならない。
影響の巨大化と研究の私的性格との間の矛盾
  補足④ 科学者・技術者は、組織の中での仕事に携わることによって、その個人的な意図にはかかわらず、ある特定の社会的な役割を担わされる。そして仕事を推進させる原動力は、科学者の純粋で私的な探究心に他ならない。


【巨大システムに発生する事故の特徴】
  (1) 事故シナリオにはなかった想定外の些細な事象から、重大な事故は始まる。
  (2) 機械と機械、機械と人間の相互作用が、事故を連鎖的に拡大する。また、火災などによる共通要因事故も存在する。もし、安全審査の事故確率論が、個々の事象が独立である前提で計算しているなら、それは欺瞞である。注意せよ!
   (2.1) 重大事故を発生させる巨大システムに内在する特性:①諸機能間の複雑で高い相互作用性、②空間的近接性に起因する脆弱性、③遊びのない緊密性に起因する脆弱性、④機械と人間との間の複雑な相互作用性、⑤システムの複雑性に起因する予期せぬ相互作用性
    (補足④-1) 機械と人間との奇妙とも言えるような相互作用が、人間の判断ミスを誘い、事故を重大化させる。
    (補足④-2) 現代の巨大システムは自動制御されているが、異常発生時には人間の判断と操作が必要となり、人間の判断ミスを誘う。
  (3) 事故の遠因は日常に潜んでいる。経済状況、税法、規制法制等の社会状況、組織の経営理念、企業文化、管理体制等々。
  (4) 事故において、最後の砦となる決定的役割を演じるのは人間である。

【重大事故を防ぐ方法は、あるだろうか?】
  (1)パッシブ・セーフティ:異常が発生したとき、人為的で動的な介入ではなく、重力とか熱移動など間違いなく作用する自然法則に依拠した安全性が働くようなシステムなら、うまくいくかもしれない。
(2) 管制室の設計は、人と機械との相互作用を考慮して、必要とする情報が、適切な場所に、読み取るのに分かりやすい方法で、表示される必要がある。


(以下、出典:なぜ脱原発?原子力資料情報室(CNIC)
原子力に頼らない社会をめざす「10の理由」
脱原発とは、その名の通り「原発(原子力発電所)のある社会から脱け出すこと」。でも、私たちはなぜ、脱原発を目指さなければならないのでしょうか。数ある答えの中でもCNICが特に重要と考える、脱原発の「10の理由」をお話します。
1. 放射能災害の危険性がある。
 原子核の核分裂反応を利用して電気をつくる原発では、反応のコントロールに失敗するとチェルノブイリ原発で起きたような爆発事故が発生します。また原子炉を冷やすことに失敗すれば、福島原発で起きたようなメルトダウン事故も起きてしまいます。これら原発の大事故は、寿命の長い放射能を大量に放出するため影響が長く続き、甚大な放射能災害をもたらします。このまま原発の運転を続ければ、地震や津波、人為的ミスなどさまざまな原因によって、またいつ次の大事故が起きても不思議ではありません。」
(補足1)核技術は、46億年かけて育まれたこの地球の環境には存在しなかった物質を、つくり出してしまう。
(補足2)この地球のあらゆる循環と生命の営みの原理である化学反応の世界よりも、100万倍も強い力の世界が核反応の世界だ。それは、一歩間違えれば、もはややり直しがきかないような事故のリスクを抱えている。
(補足3)人間は全知全能ではあり得ないから、必ず間違いや事故の可能性がある。したがって、試行錯誤や、やり直しが許されないような技術は、廃棄すべきである。宇宙開発、化学物質の製造、遺伝子組換えも、同様の観点での検証が必要だ。

【事故の種類】
(1) 冷却材喪失事故(空炊き事故):その原因 ①配管の大破断 ②水漏れ ③金属劣化による釜の破壊 ④停電による送水停止
(2) 反応度事故
(3) 臨界事故
  (補足)臨界事故の恐怖

2.放射性廃棄物という「負の遺産」を発生させる。
 もし仮に大事故は防げたとしても、原発を動かしている限り、さまざまな放射能のごみが大量に発生し続けます。それら放射性廃棄物の中には10万年以上も隔離が必要なものも存在し、このままでは後世にゆだねる「負の遺産」がますます増える一方です。未来の負担、子孫の負担を少しでも小さくすることを、私たちは真剣に考えなくてはいけません。」
(補足1)原発が、いかに巨大な量の放射能を蓄えているかを理解しておくこと。100万kW級の原発1基は、1日で広島型原爆3発分、年間700~1000発分の核反応に相当する。
(補足2)放射性廃棄物の管理を難しくする4つの理由(①毒性が非常に強い,②半減期が非常に長い,③発熱し続けるので小さくまとめられない,④化学的性質が違う多くの元素を含むので、処理や保管が難しい)
(補足2-1)放射性廃棄物が壊変して毒性のない元素になるには、数百万年の時間が必要となる。これは、人間に管理できる時間スケールだろうか?
(補足2-2)寿命の長い放射能を寿命の短いものにしてしまうとか、放射能のないものに変えてしまうという試みは、成功していない。すなわち、原子力の火は、つけることはできるが、消したいときに消せない火なのだ。
3.核拡散の危険性がある。
 原発も原爆も燃料は同じで、「ウラン」または「プルトニウム」です。原発の燃料である「低濃縮ウラン」をつくる作業を繰り返せば、原爆の燃料である「高濃縮ウラン」は容易に手に入ってしまいますし、また原発の使用済み燃料に含まれる「プルトニウム」は再処理工場で取り出すことが可能です。したがって原子力発電を続ける限り、新たに「核兵器国になろう」とする国や、「高濃縮ウランやプルトニウムを奪って核爆弾をつくろう」とする集団が現れることを防げません。またこれらの動きを封じ込める名目で「核管理社会」化が進めば、人権が制限され、危険を知るための情報も隠されて、充分な備えのないままに原発事故が起きてしまう可能性も否めません。
4.事故がなくても、労働者の被ばくをともなう。
 原発の中では、元請け-中請け-下請け-孫請け-ひ孫請けと何重にも差別された多くの労働者が働いています。そして被ばく全体の95パーセント以上が、「電力会社の社員以外」の人たちの身体で起きています(平常運転時)。
 原発だけでなく、ウランの鉱山使用済み燃料の再処理工場においても、大勢の人たちが放射線を浴びながら働いています。労働者の被ばくなくして、原発は動かないのです。
5.関連施設にも、大きな危険や問題がある。
 原子力発電では、ウラン鉱石を掘り出し燃料を製造する施設や、放射性廃棄物のあと始末をする施設など、いわゆる核燃料サイクルの関連施設が数多く必要となります。これらの施設も原発同様で、さまざまな事故の危険性を抱えており、労働者が被ばくし、また放射能のごみを大量に発生させています。
6.地域の自立や平和をそこなう。
 原発の立地自治体では、電源三法交付金などにより財政が一時的にうるおうため、これに依存することにより地域の経済的な自立が妨げられます。また、地域住民の間にそれまで存在しなかった「賛成」「反対」の対立を持ち込むことも、たいへん大きな問題です。
7.常に情報の隠ぺいやねつ造などが、つきまとう。
 原発をめぐる産・官・学の特定の関係者の間で「原子力ムラ」と呼ばれる風土が形成され、オープンな議論ができない環境ができあがっています。科学や技術の分野には批判的精神が不可欠ですが、研究費や人事を通してそれらが損なわれ、原子力の研究にかかわる大学や研究者には利益相反の疑いも生じています。
8.省エネルギーに逆行する。
 原子力自動車や原子力ストーブが存在しないように、原子力はほかのエネルギー源と違って、電気の形にしなくてはエネルギー利用ができません。しかも発電時のロスはきわめて大きく、発生した熱の65パーセント以上が温排水として海に捨てられてしまいます。また原発は、電力需要の変化に合わせて出力を変えられないため、出力調整用の発電所が必要となります。つまり原発を動かすために、火力、水力などの発電所が余分につくられてしまうのです。このように原子力はエネルギー源としてたいへん無駄が多く、省エネルギーに逆行する存在なのです。
9.実は、温暖化をすすめる。
 上で説明したように原発を増やせば、ほかの発電所も増えてしまいます。したがって原発が火力発電所よりもCO2を出さないとしても、原発のある社会では火力発電所も必要とするため、最終的にCO2を減らすことは叶わず温暖化を止めることもできません。それどころか、CO2の削減に最も効果的な「省エネルギー」に逆行する原発は、むしろ温暖化をすすめる存在です。原発に膨大な予算が注ぎ込まれることで、私たちの社会は、より有効な温暖化対策に使うべきお金を失っているのです。
10.実は、大停電を起こしやすい。
 大きな地震などがあると、多くの原発がいっせいに止まってしまうことがあります。そしていったん停止した原発は、再稼働するまでに多くの時間がかかります。また電力消費地から遠く離れた場所にしか建てられない原発には、長距離の送電が必要となります。そのため電圧や周波数の維持が困難になり、送電が止められてしまうこともあります。このように原発は、安定的な電力供給どころか、大停電につながる要因を数多く抱えています。原発の占める割合が大きいほど、止まれば大停電になりかねません。」
(出典:なぜ脱原発?原子力資料情報室(CNIC)


(出典:高木仁三郎の部屋
友へ―――高木仁三郎からの最後のメッセージ
 「「死が間近い」と覚悟したときに思ったことのひとつに、なるべく多くのメッセージを多様な形で多様な人々に残しておきたいということがありました。そんな一環として、私はこの間少なからぬ本を書き上げたり、また未完にして終わったりしました。
 未完にして終わってはならないもののひとつが、この今書いているメッセージ。仮に「偲ぶ会」を適当な時期にやってほしい、と遺言しました。そうである以上、それに向けた私からの最低限のメッセージも必要でしょう。
 まず皆さん、ほんとうに長いことありがとうございました。体制内のごく標準的な一科学者として一生を終わっても何の不思議もない人間を、多くの方たちが暖かい手を差しのべて鍛え直して呉れました。それによってとにかくも「反原発の市民科学者」としての一生を貫徹することができました。
 反原発に生きることは、苦しいこともありましたが、全国、全世界に真摯に生きる人々とともにあることと、歴史の大道に沿って歩んでいることの確信から来る喜びは、小さな困難などをはるかに超えるものとして、いつも私を前に向って進めてくれました。幸いにして私は、ライト・ライブリフッド賞を始め、いくつかの賞に恵まれることになりましたが、繰り返し言って来たように、多くの志を共にする人たちと分かち合うものとしての受賞でした。
 残念ながら、原子力最後の日は見ることができず、私の方が先に逝かねばならなくなりましたが、せめて「プルトニウム最後の日」くらいは、目にしたかったです。でもそれはもう時間の問題でしょう。すでにあらゆる事実が、私たちの主張が正しかったことを示しています。なお、楽観できないのは、この末期的症状の中で、巨大な事故や不正が原子力の世界を襲う危険でしょう。JCO事故からロシア原潜事故までのこの一年間を考えるとき、原子力時代の末期症状による大事故の危険と結局は放射性廃棄物が垂れ流しになっていくのではないかということに対する危惧の念は、今、先に逝ってしまう人間の心を最も悩ますものです。
 後に残る人々が、歴史を見通す透徹した知力と、大胆に現実に立ち向かう活発な行動力をもって、一刻も早く原子力の時代にピリオドをつけ、その賢明な終局に英知を結集されることを願ってやみません。私はどこかで、必ず、その皆さまの活動を見守っていることでしょう。
 私から一つだけ皆さんにお願いするとしたら、どうか今日を悲しい日にしないでください。
 泣き声や泣き顔は、私にはふさわしくありません。
 今日は、脱原発、反原発、そしてより平和で持続的な未来に向っての、心新たな誓いの日、スタートの楽しい日にして皆で楽しみましょう。高木仁三郎というバカな奴もいたなと、ちょっぴり思い出してくれながら、核のない社会に向けて、皆が楽しく夢を語る。そんな日にしましょう。
 いつまでも皆さんとともに
                     高木 仁三郎
 世紀末にあたり、新しい世紀をのぞみつつ」
(高木仁三郎(1938-2000)『高木仁三郎著作集 第四巻 プルートーンの火』未公刊資料 友へ―――高木仁三郎からの最後のメッセージ、pp.672-674)

高木仁三郎(1938-2000、物理学、核化学)
原子力資料情報室(CNIC)
Citizens' Nuclear Information Center
認定NPO法人 高木仁三郎市民科学基金|THE TAKAGI FUND for CITIZEN SCIENCE
高木仁三郎の部屋
高木仁三郎の本(amazon)
検索(高木仁三郎)
ニュース(高木仁三郎)

高木仁三郎 略歴・業績Who's Whoarsvi.com立命館大学生存学研究センター

原子力市民委員会(2013-)
原子力市民委員会
Citizens' Commission on Nuclear Energy
原子力市民委員会 (@ccnejp) | Twitter
検索(原子力市民委員会)
ニュース(原子力市民委員会)

今後、数十年間、忘れないで注意する必要がある!

(出典:放射能汚染地図(八訂版)早川由紀夫の火山ブログ

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もし、ほんの少し運が悪ければどうなっていたか。決して忘れないこと!
 ※日本とチェルノブイリの汚染範囲が、同じ縮尺で描かれています。

(出典:放射能汚染地図(八訂版)早川由紀夫の火山ブログ



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テーマ : 文明・文化&思想
ジャンル : 学問・文化・芸術

脱原発・基本命題集 高木仁三郎かく語りき (27)管制室の設計は、人と機械との相互作用を考慮して、判断ミスを誘わないようになされる必要がある。

脱原発・基本命題集 高木仁三郎かく語りき (27)管制室の設計は、人と機械との相互作用を考慮して、判断ミスを誘わないようになされる必要がある。

 脱原発に生涯を尽くした科学者がいました。高木仁三郎(1938-2000、物理学、核化学)。なぜ脱原発なのか、忘れてはならない彼の言葉を、ご紹介します。個人的利害や社会的立場、思想・信条や好き嫌いなど趣味の違いを超えて、日本と世界の未来を真剣に考えようとする人にとっては、必ず知っておくべき基本命題集です。

【管制室の設計は、人と機械との相互作用を考慮して、必要とする情報が、適切な場所に、読み取るのに分かりやすい方法で、表示される必要がある。】
 「事故が見えない。」事故発生時において、管制室の状況を支配する雰囲気は混乱そのものであり、重要な決定が正確な情報なしに下されていた。管制室の設計においては、人と機械との相互作用を考慮して、必要とする情報が、適切な場所に、読み取るのに分かりやすい方法で、表示される必要がある。
 「深刻なのは、既に述べたように「事故が見えない」ことだった。情報は多いにもかかわらず、運転員には炉心で何が起こっているか、まったく把握するすべもなかった。スリーマイル島の制御室ではさらに奇妙なことが起こっていた。事故状況を聞いてかけつけた人たちによって、しばらくすると制御室は人員過剰となり、かけつけたうちの何人かは適切な措置に貢献したが、多くは混乱を拡大しただけだった。このスリーマイル島の制御室の状況については、英国心理学会声明からの次のような引用が示唆的である。
 「キャンターとパウエルは、管制室(制御室)の設計において人と機械との相互作用がまったく無視されているという事実に注意を引いている。オペレーターが必要とする情報はしばしば存在しなかったり、適切な場所になかったり、あいまいで、読み取るのが困難であったりした。管制室には一九〇〇の表示板があったが、そのうちの二六%は正面のパネルの前に立った時にはみることができないところにあった。それは情報過剰の典型的な実例であった。緊急事態の手続は職員が対応しやすいようにはなっておらず、管制室には三〇人もの作業員がいたが、彼らのほとんどは原子力発電所で何が起こっているのか理解できなかった。大統領委員会のインタビューを受けた時、作業員たちは、緊急事態の間に彼らがもっとも必要としたのは、『発電所で何が起こっているかを知る方法』であったと報告している。心理学の見地からすれば、彼らは信頼しうる信号を必要としていたのに、『雑音』に悩まされていたのである。状況を支配する雰囲気は混乱そのものであり、あらゆるレベルで通信がとだえ、重要な決定が正確な情報なしに下されていた。」(J・トンプソン編著(黒沢満訳)『核戦争の心理学』西村書店、一九八八年)」
(高木仁三郎(1938-2000)『高木仁三郎著作集 第九巻 市民科学者として生きるⅢ』巨大事故の時代 第八章 ヒューマン・ファクター、pp.132-133)



ここまで、目を通して下さりありがとうございます。
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 さて、まとめとして、ご紹介した高木仁三郎の言葉を、下記に一覧化しておきましょう。
また特に、一部の命題は、高木仁三郎の遺志を継ぐ原子力資料情報室(CNIC)の、とてもコンパクトで分かりやすくまとめられた「なぜ脱原発?」に、追記しておきます。

【科学技術論】
  科学技術が巨大化することにより抱える4つの問題:①実証性の虚構化、②研究費への依存性増大による特定領域への偏向、③研究の細分化と効率性追求による総合的視点の喪失、④影響の巨大化と研究の私的性格との間の矛盾
実証性の虚構化
  補足①-1 人間的な感覚を通した実験室での経験が、科学の実証性の重要な基礎である。
  補足①-2 大きなシステムでは、システムを構成する個別的な要素ごとに、実験室的に純化した条件下で基礎的な現象を解析し、要素から全体を再構成するという手法を取るが、システムが大きくなると再現性が悪くなるという問題がある。そこで、可能な限り実物に近いシステムをつくり実験と検証を重ねることが必要になる。ところが、原子炉の場合、燃料棒など実物を使うわけにいかない部分があり、これが従来の実証性を虚構化する要因になっている。
  補足①-3 科学的に装われた「故障確率」に注意せよ! 個々の部品の故障確率からシステム全体の故障確率を推計することは、部品の数が膨大になると、単なる数字の上でのゲームになりやすい。
研究費への依存性増大による特定領域への偏向
  補足② いかに名声があり偉大な科学者であっても、国家的なプロジェクトの目的に異議をとなえ影響を与え得た科学者はいなかった。それが可能なのは、普通の人たちの幅ひろい運動と世論に支えられた場合だけである。
研究の細分化と効率性追求による総合的視点の喪失
  補足③ 巨大科学技術は、それを担う人々を細分化した専門家に仕立てあげる。しかし、システム全体に対する総合的な視点、地球環境や未来に対する総合的視点と責任を見失ってはならない。
影響の巨大化と研究の私的性格との間の矛盾
  補足④ 科学者・技術者は、組織の中での仕事に携わることによって、その個人的な意図にはかかわらず、ある特定の社会的な役割を担わされる。そして仕事を推進させる原動力は、科学者の純粋で私的な探究心に他ならない。


【巨大システムに発生する事故の特徴】
  (1) 事故シナリオにはなかった想定外の些細な事象から、重大な事故は始まる。
  (2) 機械と機械、機械と人間の相互作用が、事故を連鎖的に拡大する。また、火災などによる共通要因事故も存在する。もし、安全審査の事故確率論が、個々の事象が独立である前提で計算しているなら、それは欺瞞である。注意せよ!
   (2.1) 重大事故を発生させる巨大システムに内在する特性:①諸機能間の複雑で高い相互作用性、②空間的近接性に起因する脆弱性、③遊びのない緊密性に起因する脆弱性、④機械と人間との間の複雑な相互作用性、⑤システムの複雑性に起因する予期せぬ相互作用性
    (補足④-1) 機械と人間との奇妙とも言えるような相互作用が、人間の判断ミスを誘い、事故を重大化させる。
    (補足④-2) 現代の巨大システムは自動制御されているが、異常発生時には人間の判断と操作が必要となり、人間の判断ミスを誘う。
  (3) 事故の遠因は日常に潜んでいる。経済状況、税法、規制法制等の社会状況、組織の経営理念、企業文化、管理体制等々。
  (4) 事故において、最後の砦となる決定的役割を演じるのは人間である。

【重大事故を防ぐ方法は、あるだろうか?】
  (1)パッシブ・セーフティ:異常が発生したとき、人為的で動的な介入ではなく、重力とか熱移動など間違いなく作用する自然法則に依拠した安全性が働くようなシステムなら、うまくいくかもしれない。
(2) 管制室の設計は、人と機械との相互作用を考慮して、必要とする情報が、適切な場所に、読み取るのに分かりやすい方法で、表示される必要がある。


(以下、出典:なぜ脱原発?原子力資料情報室(CNIC)
原子力に頼らない社会をめざす「10の理由」
脱原発とは、その名の通り「原発(原子力発電所)のある社会から脱け出すこと」。でも、私たちはなぜ、脱原発を目指さなければならないのでしょうか。数ある答えの中でもCNICが特に重要と考える、脱原発の「10の理由」をお話します。
1. 放射能災害の危険性がある。
 原子核の核分裂反応を利用して電気をつくる原発では、反応のコントロールに失敗するとチェルノブイリ原発で起きたような爆発事故が発生します。また原子炉を冷やすことに失敗すれば、福島原発で起きたようなメルトダウン事故も起きてしまいます。これら原発の大事故は、寿命の長い放射能を大量に放出するため影響が長く続き、甚大な放射能災害をもたらします。このまま原発の運転を続ければ、地震や津波、人為的ミスなどさまざまな原因によって、またいつ次の大事故が起きても不思議ではありません。」
(補足1)核技術は、46億年かけて育まれたこの地球の環境には存在しなかった物質を、つくり出してしまう。
(補足2)この地球のあらゆる循環と生命の営みの原理である化学反応の世界よりも、100万倍も強い力の世界が核反応の世界だ。それは、一歩間違えれば、もはややり直しがきかないような事故のリスクを抱えている。
(補足3)人間は全知全能ではあり得ないから、必ず間違いや事故の可能性がある。したがって、試行錯誤や、やり直しが許されないような技術は、廃棄すべきである。宇宙開発、化学物質の製造、遺伝子組換えも、同様の観点での検証が必要だ。

【事故の種類】
(1) 冷却材喪失事故(空炊き事故):その原因 ①配管の大破断 ②水漏れ ③金属劣化による釜の破壊 ④停電による送水停止
(2) 反応度事故
(3) 臨界事故
  (補足)臨界事故の恐怖

2.放射性廃棄物という「負の遺産」を発生させる。
 もし仮に大事故は防げたとしても、原発を動かしている限り、さまざまな放射能のごみが大量に発生し続けます。それら放射性廃棄物の中には10万年以上も隔離が必要なものも存在し、このままでは後世にゆだねる「負の遺産」がますます増える一方です。未来の負担、子孫の負担を少しでも小さくすることを、私たちは真剣に考えなくてはいけません。」
(補足1)原発が、いかに巨大な量の放射能を蓄えているかを理解しておくこと。100万kW級の原発1基は、1日で広島型原爆3発分、年間700~1000発分の核反応に相当する。
(補足2)放射性廃棄物の管理を難しくする4つの理由(①毒性が非常に強い,②半減期が非常に長い,③発熱し続けるので小さくまとめられない,④化学的性質が違う多くの元素を含むので、処理や保管が難しい)
(補足2-1)放射性廃棄物が壊変して毒性のない元素になるには、数百万年の時間が必要となる。これは、人間に管理できる時間スケールだろうか?
(補足2-2)寿命の長い放射能を寿命の短いものにしてしまうとか、放射能のないものに変えてしまうという試みは、成功していない。すなわち、原子力の火は、つけることはできるが、消したいときに消せない火なのだ。
3.核拡散の危険性がある。
 原発も原爆も燃料は同じで、「ウラン」または「プルトニウム」です。原発の燃料である「低濃縮ウラン」をつくる作業を繰り返せば、原爆の燃料である「高濃縮ウラン」は容易に手に入ってしまいますし、また原発の使用済み燃料に含まれる「プルトニウム」は再処理工場で取り出すことが可能です。したがって原子力発電を続ける限り、新たに「核兵器国になろう」とする国や、「高濃縮ウランやプルトニウムを奪って核爆弾をつくろう」とする集団が現れることを防げません。またこれらの動きを封じ込める名目で「核管理社会」化が進めば、人権が制限され、危険を知るための情報も隠されて、充分な備えのないままに原発事故が起きてしまう可能性も否めません。
4.事故がなくても、労働者の被ばくをともなう。
 原発の中では、元請け-中請け-下請け-孫請け-ひ孫請けと何重にも差別された多くの労働者が働いています。そして被ばく全体の95パーセント以上が、「電力会社の社員以外」の人たちの身体で起きています(平常運転時)。
 原発だけでなく、ウランの鉱山使用済み燃料の再処理工場においても、大勢の人たちが放射線を浴びながら働いています。労働者の被ばくなくして、原発は動かないのです。
5.関連施設にも、大きな危険や問題がある。
 原子力発電では、ウラン鉱石を掘り出し燃料を製造する施設や、放射性廃棄物のあと始末をする施設など、いわゆる核燃料サイクルの関連施設が数多く必要となります。これらの施設も原発同様で、さまざまな事故の危険性を抱えており、労働者が被ばくし、また放射能のごみを大量に発生させています。
6.地域の自立や平和をそこなう。
 原発の立地自治体では、電源三法交付金などにより財政が一時的にうるおうため、これに依存することにより地域の経済的な自立が妨げられます。また、地域住民の間にそれまで存在しなかった「賛成」「反対」の対立を持ち込むことも、たいへん大きな問題です。
7.常に情報の隠ぺいやねつ造などが、つきまとう。
 原発をめぐる産・官・学の特定の関係者の間で「原子力ムラ」と呼ばれる風土が形成され、オープンな議論ができない環境ができあがっています。科学や技術の分野には批判的精神が不可欠ですが、研究費や人事を通してそれらが損なわれ、原子力の研究にかかわる大学や研究者には利益相反の疑いも生じています。
8.省エネルギーに逆行する。
 原子力自動車や原子力ストーブが存在しないように、原子力はほかのエネルギー源と違って、電気の形にしなくてはエネルギー利用ができません。しかも発電時のロスはきわめて大きく、発生した熱の65パーセント以上が温排水として海に捨てられてしまいます。また原発は、電力需要の変化に合わせて出力を変えられないため、出力調整用の発電所が必要となります。つまり原発を動かすために、火力、水力などの発電所が余分につくられてしまうのです。このように原子力はエネルギー源としてたいへん無駄が多く、省エネルギーに逆行する存在なのです。
9.実は、温暖化をすすめる。
 上で説明したように原発を増やせば、ほかの発電所も増えてしまいます。したがって原発が火力発電所よりもCO2を出さないとしても、原発のある社会では火力発電所も必要とするため、最終的にCO2を減らすことは叶わず温暖化を止めることもできません。それどころか、CO2の削減に最も効果的な「省エネルギー」に逆行する原発は、むしろ温暖化をすすめる存在です。原発に膨大な予算が注ぎ込まれることで、私たちの社会は、より有効な温暖化対策に使うべきお金を失っているのです。
10.実は、大停電を起こしやすい。
 大きな地震などがあると、多くの原発がいっせいに止まってしまうことがあります。そしていったん停止した原発は、再稼働するまでに多くの時間がかかります。また電力消費地から遠く離れた場所にしか建てられない原発には、長距離の送電が必要となります。そのため電圧や周波数の維持が困難になり、送電が止められてしまうこともあります。このように原発は、安定的な電力供給どころか、大停電につながる要因を数多く抱えています。原発の占める割合が大きいほど、止まれば大停電になりかねません。」
(出典:なぜ脱原発?原子力資料情報室(CNIC)


(出典:高木仁三郎の部屋
友へ―――高木仁三郎からの最後のメッセージ
 「「死が間近い」と覚悟したときに思ったことのひとつに、なるべく多くのメッセージを多様な形で多様な人々に残しておきたいということがありました。そんな一環として、私はこの間少なからぬ本を書き上げたり、また未完にして終わったりしました。
 未完にして終わってはならないもののひとつが、この今書いているメッセージ。仮に「偲ぶ会」を適当な時期にやってほしい、と遺言しました。そうである以上、それに向けた私からの最低限のメッセージも必要でしょう。
 まず皆さん、ほんとうに長いことありがとうございました。体制内のごく標準的な一科学者として一生を終わっても何の不思議もない人間を、多くの方たちが暖かい手を差しのべて鍛え直して呉れました。それによってとにかくも「反原発の市民科学者」としての一生を貫徹することができました。
 反原発に生きることは、苦しいこともありましたが、全国、全世界に真摯に生きる人々とともにあることと、歴史の大道に沿って歩んでいることの確信から来る喜びは、小さな困難などをはるかに超えるものとして、いつも私を前に向って進めてくれました。幸いにして私は、ライト・ライブリフッド賞を始め、いくつかの賞に恵まれることになりましたが、繰り返し言って来たように、多くの志を共にする人たちと分かち合うものとしての受賞でした。
 残念ながら、原子力最後の日は見ることができず、私の方が先に逝かねばならなくなりましたが、せめて「プルトニウム最後の日」くらいは、目にしたかったです。でもそれはもう時間の問題でしょう。すでにあらゆる事実が、私たちの主張が正しかったことを示しています。なお、楽観できないのは、この末期的症状の中で、巨大な事故や不正が原子力の世界を襲う危険でしょう。JCO事故からロシア原潜事故までのこの一年間を考えるとき、原子力時代の末期症状による大事故の危険と結局は放射性廃棄物が垂れ流しになっていくのではないかということに対する危惧の念は、今、先に逝ってしまう人間の心を最も悩ますものです。
 後に残る人々が、歴史を見通す透徹した知力と、大胆に現実に立ち向かう活発な行動力をもって、一刻も早く原子力の時代にピリオドをつけ、その賢明な終局に英知を結集されることを願ってやみません。私はどこかで、必ず、その皆さまの活動を見守っていることでしょう。
 私から一つだけ皆さんにお願いするとしたら、どうか今日を悲しい日にしないでください。
 泣き声や泣き顔は、私にはふさわしくありません。
 今日は、脱原発、反原発、そしてより平和で持続的な未来に向っての、心新たな誓いの日、スタートの楽しい日にして皆で楽しみましょう。高木仁三郎というバカな奴もいたなと、ちょっぴり思い出してくれながら、核のない社会に向けて、皆が楽しく夢を語る。そんな日にしましょう。
 いつまでも皆さんとともに
                     高木 仁三郎
 世紀末にあたり、新しい世紀をのぞみつつ」
(高木仁三郎(1938-2000)『高木仁三郎著作集 第四巻 プルートーンの火』未公刊資料 友へ―――高木仁三郎からの最後のメッセージ、pp.672-674)

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(出典:放射能汚染地図(八訂版)早川由紀夫の火山ブログ

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もし、ほんの少し運が悪ければどうなっていたか。決して忘れないこと!
 ※日本とチェルノブイリの汚染範囲が、同じ縮尺で描かれています。

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脱原発・基本命題集 高木仁三郎かく語りき (26)自動制御されているシステムも、異常発生時には人間の判断と操作が必要となり、人間の判断ミスを誘う。

脱原発・基本命題集 高木仁三郎かく語りき (26)自動制御されているシステムも、異常発生時には人間の判断と操作が必要となり、人間の判断ミスを誘う。

 脱原発に生涯を尽くした科学者がいました。高木仁三郎(1938-2000、物理学、核化学)。なぜ脱原発なのか、忘れてはならない彼の言葉を、ご紹介します。個人的利害や社会的立場、思想・信条や好き嫌いなど趣味の違いを超えて、日本と世界の未来を真剣に考えようとする人にとっては、必ず知っておくべき基本命題集です。

【現代の巨大システムは自動制御されているが、異常発生時には人間の判断と操作が必要となり、人間の判断ミスを誘う。】
 現代の巨大システムを集中管理している自動制御システムも、さまざまなトラブルの全てに、柔軟かつ自動的に対応することはできないから、異常時には運転員の役割がきわめて重要となる。運転員は中央制御室に寄せられてくるさまざまな情報を総合的に判断して、適切な手動操作を行わなければならない。そこに人為ミスの生じる余地も生まれるが、そのほとんどは、操作ミスというよりも判断上のミスである。
 「ちょっと考えると原発の運転操作などは、ほとんど自動化されそうである。たしかに、大量の情報量を取扱い、迅速正確な運転操作を必要とすればするほど、現代の巨大システムは自動化に向い、自動制御システムによって集中管理されることになる。制御盤に向う運転員の数も少なく、その作業も平常時は単純なものだ。
 ところが、異常時には状況は一変する。一口に異常といっても、ちょっとした弁の異常から大口径の配管破断まで大小いろいろであり、小さな弁の異常や配管の穴あき、電気系統の異常などの可能性はほとんど無数にあるといってよい。それらの全部に柔軟に対応できるような自動制御システムは存在しないから、異常時には運転員の役割がきわめて重要となる。
 運転員は中央制御室に寄せられてくるさまざまな情報を総合的に判断して、適切な手動操作を行わなければならない。そこに「人為ミス」の生じる余地も生まれるが、そのほとんどは、操作ミスというよりも判断上のミス(不適切)である。
 スリーマイル島原発事故で、決定的な「人為ミス」と言われたのは、運転員が緊急時に炉心に冷却水を送りこむ高圧注水ポンプを切ってしまった「判断ミス」である。この「ミス」については、事故後一〇年に際しての当事者自身の貴重な証言がある。
 『TMI二号炉の事故後、なぜ高圧注入系を切ったのかと私はしばしばたずねられた。私は、それは加圧器が満水状態になることを防ぐためで、もしそうなると設計圧力以上の圧力がかかって破壊が起こるかもしれなかったからだ、と説明した。するとすぐに研究者たちから答えがかえって来て、計算によればぜったいにそんなことはありえない、と言うのだった。たしかに、彼らは正しいが、彼らは現場にいたわけではない。彼らは机に向って計算し、他の技術者や法律家にその結果をチェックしてもらって、言っているのである。後から考えた方が、よい答えが出るに決まっている。
 しかし、たとえ私がその結果を知っていたとしても、運転手順からすれば、やっぱり私は高圧注入系の流量を絞ったろう。』」
(高木仁三郎(1938-2000)『高木仁三郎著作集 第二巻 脱原発へ歩みだすⅡ』共著書の論文 核エネルギーの解放と制禦、pp.522-523)



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 さて、まとめとして、ご紹介した高木仁三郎の言葉を、下記に一覧化しておきましょう。
また特に、一部の命題は、高木仁三郎の遺志を継ぐ原子力資料情報室(CNIC)の、とてもコンパクトで分かりやすくまとめられた「なぜ脱原発?」に、追記しておきます。

【科学技術論】
  科学技術が巨大化することにより抱える4つの問題:①実証性の虚構化、②研究費への依存性増大による特定領域への偏向、③研究の細分化と効率性追求による総合的視点の喪失、④影響の巨大化と研究の私的性格との間の矛盾
実証性の虚構化
  補足①-1 人間的な感覚を通した実験室での経験が、科学の実証性の重要な基礎である。
  補足①-2 大きなシステムでは、システムを構成する個別的な要素ごとに、実験室的に純化した条件下で基礎的な現象を解析し、要素から全体を再構成するという手法を取るが、システムが大きくなると再現性が悪くなるという問題がある。そこで、可能な限り実物に近いシステムをつくり実験と検証を重ねることが必要になる。ところが、原子炉の場合、燃料棒など実物を使うわけにいかない部分があり、これが従来の実証性を虚構化する要因になっている。
  補足①-3 科学的に装われた「故障確率」に注意せよ! 個々の部品の故障確率からシステム全体の故障確率を推計することは、部品の数が膨大になると、単なる数字の上でのゲームになりやすい。
研究費への依存性増大による特定領域への偏向
  補足② いかに名声があり偉大な科学者であっても、国家的なプロジェクトの目的に異議をとなえ影響を与え得た科学者はいなかった。それが可能なのは、普通の人たちの幅ひろい運動と世論に支えられた場合だけである。
研究の細分化と効率性追求による総合的視点の喪失
  補足③ 巨大科学技術は、それを担う人々を細分化した専門家に仕立てあげる。しかし、システム全体に対する総合的な視点、地球環境や未来に対する総合的視点と責任を見失ってはならない。
影響の巨大化と研究の私的性格との間の矛盾
  補足④ 科学者・技術者は、組織の中での仕事に携わることによって、その個人的な意図にはかかわらず、ある特定の社会的な役割を担わされる。そして仕事を推進させる原動力は、科学者の純粋で私的な探究心に他ならない。


【巨大システムに発生する事故の特徴】
  (1) 事故シナリオにはなかった想定外の些細な事象から、重大な事故は始まる。
  (2) 機械と機械、機械と人間の相互作用が、事故を連鎖的に拡大する。また、火災などによる共通要因事故も存在する。もし、安全審査の事故確率論が、個々の事象が独立である前提で計算しているなら、それは欺瞞である。注意せよ!
   (2.1) 重大事故を発生させる巨大システムに内在する特性:①諸機能間の複雑で高い相互作用性、②空間的近接性に起因する脆弱性、③遊びのない緊密性に起因する脆弱性、④機械と人間との間の複雑な相互作用性、⑤システムの複雑性に起因する予期せぬ相互作用性
    (補足④-1) 機械と人間との奇妙とも言えるような相互作用が、人間の判断ミスを誘い、事故を重大化させる。
    (補足④-2) 現代の巨大システムは自動制御されているが、異常発生時には人間の判断と操作が必要となり、人間の判断ミスを誘う。
  (3) 事故の遠因は日常に潜んでいる。経済状況、税法、規制法制等の社会状況、組織の経営理念、企業文化、管理体制等々。
  (4) 事故において、最後の砦となる決定的役割を演じるのは人間である。

【重大事故を防ぐ方法は、あるだろうか?】
  パッシブ・セーフティ:異常が発生したとき、人為的で動的な介入ではなく、重力とか熱移動など間違いなく作用する自然法則に依拠した安全性が働くようなシステムなら、うまくいくかもしれない。


(以下、出典:なぜ脱原発?原子力資料情報室(CNIC)
原子力に頼らない社会をめざす「10の理由」
脱原発とは、その名の通り「原発(原子力発電所)のある社会から脱け出すこと」。でも、私たちはなぜ、脱原発を目指さなければならないのでしょうか。数ある答えの中でもCNICが特に重要と考える、脱原発の「10の理由」をお話します。
1. 放射能災害の危険性がある。
 原子核の核分裂反応を利用して電気をつくる原発では、反応のコントロールに失敗するとチェルノブイリ原発で起きたような爆発事故が発生します。また原子炉を冷やすことに失敗すれば、福島原発で起きたようなメルトダウン事故も起きてしまいます。これら原発の大事故は、寿命の長い放射能を大量に放出するため影響が長く続き、甚大な放射能災害をもたらします。このまま原発の運転を続ければ、地震や津波、人為的ミスなどさまざまな原因によって、またいつ次の大事故が起きても不思議ではありません。」
(補足1)核技術は、46億年かけて育まれたこの地球の環境には存在しなかった物質を、つくり出してしまう。
(補足2)この地球のあらゆる循環と生命の営みの原理である化学反応の世界よりも、100万倍も強い力の世界が核反応の世界だ。それは、一歩間違えれば、もはややり直しがきかないような事故のリスクを抱えている。
(補足3)人間は全知全能ではあり得ないから、必ず間違いや事故の可能性がある。したがって、試行錯誤や、やり直しが許されないような技術は、廃棄すべきである。宇宙開発、化学物質の製造、遺伝子組換えも、同様の観点での検証が必要だ。

【事故の種類】
(1) 冷却材喪失事故(空炊き事故):その原因 ①配管の大破断 ②水漏れ ③金属劣化による釜の破壊 ④停電による送水停止
(2) 反応度事故
(3) 臨界事故
  (補足)臨界事故の恐怖

2.放射性廃棄物という「負の遺産」を発生させる。
 もし仮に大事故は防げたとしても、原発を動かしている限り、さまざまな放射能のごみが大量に発生し続けます。それら放射性廃棄物の中には10万年以上も隔離が必要なものも存在し、このままでは後世にゆだねる「負の遺産」がますます増える一方です。未来の負担、子孫の負担を少しでも小さくすることを、私たちは真剣に考えなくてはいけません。」
(補足1)原発が、いかに巨大な量の放射能を蓄えているかを理解しておくこと。100万kW級の原発1基は、1日で広島型原爆3発分、年間700~1000発分の核反応に相当する。
(補足2)放射性廃棄物の管理を難しくする4つの理由(①毒性が非常に強い,②半減期が非常に長い,③発熱し続けるので小さくまとめられない,④化学的性質が違う多くの元素を含むので、処理や保管が難しい)
(補足2-1)放射性廃棄物が壊変して毒性のない元素になるには、数百万年の時間が必要となる。これは、人間に管理できる時間スケールだろうか?
(補足2-2)寿命の長い放射能を寿命の短いものにしてしまうとか、放射能のないものに変えてしまうという試みは、成功していない。すなわち、原子力の火は、つけることはできるが、消したいときに消せない火なのだ。
3.核拡散の危険性がある。
 原発も原爆も燃料は同じで、「ウラン」または「プルトニウム」です。原発の燃料である「低濃縮ウラン」をつくる作業を繰り返せば、原爆の燃料である「高濃縮ウラン」は容易に手に入ってしまいますし、また原発の使用済み燃料に含まれる「プルトニウム」は再処理工場で取り出すことが可能です。したがって原子力発電を続ける限り、新たに「核兵器国になろう」とする国や、「高濃縮ウランやプルトニウムを奪って核爆弾をつくろう」とする集団が現れることを防げません。またこれらの動きを封じ込める名目で「核管理社会」化が進めば、人権が制限され、危険を知るための情報も隠されて、充分な備えのないままに原発事故が起きてしまう可能性も否めません。
4.事故がなくても、労働者の被ばくをともなう。
 原発の中では、元請け-中請け-下請け-孫請け-ひ孫請けと何重にも差別された多くの労働者が働いています。そして被ばく全体の95パーセント以上が、「電力会社の社員以外」の人たちの身体で起きています(平常運転時)。
 原発だけでなく、ウランの鉱山使用済み燃料の再処理工場においても、大勢の人たちが放射線を浴びながら働いています。労働者の被ばくなくして、原発は動かないのです。
5.関連施設にも、大きな危険や問題がある。
 原子力発電では、ウラン鉱石を掘り出し燃料を製造する施設や、放射性廃棄物のあと始末をする施設など、いわゆる核燃料サイクルの関連施設が数多く必要となります。これらの施設も原発同様で、さまざまな事故の危険性を抱えており、労働者が被ばくし、また放射能のごみを大量に発生させています。
6.地域の自立や平和をそこなう。
 原発の立地自治体では、電源三法交付金などにより財政が一時的にうるおうため、これに依存することにより地域の経済的な自立が妨げられます。また、地域住民の間にそれまで存在しなかった「賛成」「反対」の対立を持ち込むことも、たいへん大きな問題です。
7.常に情報の隠ぺいやねつ造などが、つきまとう。
 原発をめぐる産・官・学の特定の関係者の間で「原子力ムラ」と呼ばれる風土が形成され、オープンな議論ができない環境ができあがっています。科学や技術の分野には批判的精神が不可欠ですが、研究費や人事を通してそれらが損なわれ、原子力の研究にかかわる大学や研究者には利益相反の疑いも生じています。
8.省エネルギーに逆行する。
 原子力自動車や原子力ストーブが存在しないように、原子力はほかのエネルギー源と違って、電気の形にしなくてはエネルギー利用ができません。しかも発電時のロスはきわめて大きく、発生した熱の65パーセント以上が温排水として海に捨てられてしまいます。また原発は、電力需要の変化に合わせて出力を変えられないため、出力調整用の発電所が必要となります。つまり原発を動かすために、火力、水力などの発電所が余分につくられてしまうのです。このように原子力はエネルギー源としてたいへん無駄が多く、省エネルギーに逆行する存在なのです。
9.実は、温暖化をすすめる。
 上で説明したように原発を増やせば、ほかの発電所も増えてしまいます。したがって原発が火力発電所よりもCO2を出さないとしても、原発のある社会では火力発電所も必要とするため、最終的にCO2を減らすことは叶わず温暖化を止めることもできません。それどころか、CO2の削減に最も効果的な「省エネルギー」に逆行する原発は、むしろ温暖化をすすめる存在です。原発に膨大な予算が注ぎ込まれることで、私たちの社会は、より有効な温暖化対策に使うべきお金を失っているのです。
10.実は、大停電を起こしやすい。
 大きな地震などがあると、多くの原発がいっせいに止まってしまうことがあります。そしていったん停止した原発は、再稼働するまでに多くの時間がかかります。また電力消費地から遠く離れた場所にしか建てられない原発には、長距離の送電が必要となります。そのため電圧や周波数の維持が困難になり、送電が止められてしまうこともあります。このように原発は、安定的な電力供給どころか、大停電につながる要因を数多く抱えています。原発の占める割合が大きいほど、止まれば大停電になりかねません。」
(出典:なぜ脱原発?原子力資料情報室(CNIC)


(出典:高木仁三郎の部屋
友へ―――高木仁三郎からの最後のメッセージ
 「「死が間近い」と覚悟したときに思ったことのひとつに、なるべく多くのメッセージを多様な形で多様な人々に残しておきたいということがありました。そんな一環として、私はこの間少なからぬ本を書き上げたり、また未完にして終わったりしました。
 未完にして終わってはならないもののひとつが、この今書いているメッセージ。仮に「偲ぶ会」を適当な時期にやってほしい、と遺言しました。そうである以上、それに向けた私からの最低限のメッセージも必要でしょう。
 まず皆さん、ほんとうに長いことありがとうございました。体制内のごく標準的な一科学者として一生を終わっても何の不思議もない人間を、多くの方たちが暖かい手を差しのべて鍛え直して呉れました。それによってとにかくも「反原発の市民科学者」としての一生を貫徹することができました。
 反原発に生きることは、苦しいこともありましたが、全国、全世界に真摯に生きる人々とともにあることと、歴史の大道に沿って歩んでいることの確信から来る喜びは、小さな困難などをはるかに超えるものとして、いつも私を前に向って進めてくれました。幸いにして私は、ライト・ライブリフッド賞を始め、いくつかの賞に恵まれることになりましたが、繰り返し言って来たように、多くの志を共にする人たちと分かち合うものとしての受賞でした。
 残念ながら、原子力最後の日は見ることができず、私の方が先に逝かねばならなくなりましたが、せめて「プルトニウム最後の日」くらいは、目にしたかったです。でもそれはもう時間の問題でしょう。すでにあらゆる事実が、私たちの主張が正しかったことを示しています。なお、楽観できないのは、この末期的症状の中で、巨大な事故や不正が原子力の世界を襲う危険でしょう。JCO事故からロシア原潜事故までのこの一年間を考えるとき、原子力時代の末期症状による大事故の危険と結局は放射性廃棄物が垂れ流しになっていくのではないかということに対する危惧の念は、今、先に逝ってしまう人間の心を最も悩ますものです。
 後に残る人々が、歴史を見通す透徹した知力と、大胆に現実に立ち向かう活発な行動力をもって、一刻も早く原子力の時代にピリオドをつけ、その賢明な終局に英知を結集されることを願ってやみません。私はどこかで、必ず、その皆さまの活動を見守っていることでしょう。
 私から一つだけ皆さんにお願いするとしたら、どうか今日を悲しい日にしないでください。
 泣き声や泣き顔は、私にはふさわしくありません。
 今日は、脱原発、反原発、そしてより平和で持続的な未来に向っての、心新たな誓いの日、スタートの楽しい日にして皆で楽しみましょう。高木仁三郎というバカな奴もいたなと、ちょっぴり思い出してくれながら、核のない社会に向けて、皆が楽しく夢を語る。そんな日にしましょう。
 いつまでも皆さんとともに
                     高木 仁三郎
 世紀末にあたり、新しい世紀をのぞみつつ」
(高木仁三郎(1938-2000)『高木仁三郎著作集 第四巻 プルートーンの火』未公刊資料 友へ―――高木仁三郎からの最後のメッセージ、pp.672-674)

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脱原発・基本命題集 高木仁三郎かく語りき (25)パッシブ・セーフティ:人為的で動的な介入ではなく、間違いなく作用する自然法則に依拠した安全性が働くようなシステム。

脱原発・基本命題集 高木仁三郎かく語りき (25)パッシブ・セーフティ:人為的で動的な介入ではなく、間違いなく作用する自然法則に依拠した安全性が働くようなシステム。

 脱原発に生涯を尽くした科学者がいました。高木仁三郎(1938-2000、物理学、核化学)。なぜ脱原発なのか、忘れてはならない彼の言葉を、ご紹介します。個人的利害や社会的立場、思想・信条や好き嫌いなど趣味の違いを超えて、日本と世界の未来を真剣に考えようとする人にとっては、必ず知っておくべき基本命題集です。

【パッシブ・セーフティ:異常が発生したとき、人為的で動的な介入ではなく、重力とか熱移動など間違いなく作用する自然法則に依拠した安全性が働くようなシステムなら、うまくいくかもしれない。】
 パッシブ・セーフティ:温度が上がれば下がるように、反応度が上がれば下がるようなフィードバックが、人為的で動的な介入なしに働くようなシステム、すなわち、あたかも重力によって水が高いところから低いところに流れるように、熱も高いところから低いところに伝わるように、このような自然法則に十分に依拠した本来的な安全性が働くような形のシステムなら、うまくいくかもしれない。
 「つまり、小さな事故はともかくとして、原発が本当に深刻な事故に至った場合に、人為的な判断で、外からダイナミックな装置を介入させてシステムを止めるとか、緊急冷却水を送り込んで原子炉を冷やすというようなことではなくて、本来的に備わった安全性―――パッシブ・セーフティと言われています―――によって暴走を止めるようなあり方のほうが望ましいのではないかということです。つまり、危機状態が起こったときに、たとえば原子炉の温度が上がってくれば自然と反応が下がるような、あるいは反応度が上がってくればフィードバックが働いて反応度が下がるような、そういうフィードバックによって原子炉が止まる。あるいは、安全システムも、危機状態のときにモーターなどを使って人為的で動的な介入をして安全を確保するようなことをやると、モーターが動かないときはどうするのかという問題が必ず出てきますから、そうではなくて、危機状態になったら必ず、たとえばもっと強力な自然の法則、重力の法則が働いて、それによって制御棒が挿入されるというような、そういった本来的な安全性が働くような形のシステムであったほうがよいということです。そのようにパッシブなセーフティーのほうが望ましいのではないでしょうか。
 結局、技術的に純粋に詰めていけば、そういうことになってくると思います。技術的な極致はパッシビズムということだと私は思うのです。つまり、ことさら外から何か巨大なシステムや大動力を導入したり、あるいは人為的な介入をやって危機状態を乗り切ろうとしている限りにおいては、いくら安全第一をモットーとしても、やはり人間のすることですから、うまく働かなければ人為ミスが起こって必ず事故につながるので、大事故の可能性が残ってしまいます。あらゆる場合に、自然の法則やおのずと働いているさまざまな原理によって、人為的介入がなくても、事故がおさまるようなシステム、これを基本においた設計がなされるべきでしょう。重力によって水が高いところから低いところに流れるとか、熱も高いところから低いところに伝わるとか、そういった自然法則に十分に依拠したようなシステム、これを私はある人の考えを借りてパッシビズムの技術と呼んでいますけれども、それならばうまくいくかもしれないと思うのです。」
(高木仁三郎(1938-2000)『高木仁三郎著作集 第三巻 脱原発へ歩みだすⅢ』原発事故はなぜくりかえすのか 8 技術の向かうべきところ、pp.414-415)




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 さて、まとめとして、ご紹介した高木仁三郎の言葉を、下記に一覧化しておきましょう。
また特に、一部の命題は、高木仁三郎の遺志を継ぐ原子力資料情報室(CNIC)の、とてもコンパクトで分かりやすくまとめられた「なぜ脱原発?」に、追記しておきます。

【科学技術論】
  科学技術が巨大化することにより抱える4つの問題:①実証性の虚構化、②研究費への依存性増大による特定領域への偏向、③研究の細分化と効率性追求による総合的視点の喪失、④影響の巨大化と研究の私的性格との間の矛盾
実証性の虚構化
  補足①-1 人間的な感覚を通した実験室での経験が、科学の実証性の重要な基礎である。
  補足①-2 大きなシステムでは、システムを構成する個別的な要素ごとに、実験室的に純化した条件下で基礎的な現象を解析し、要素から全体を再構成するという手法を取るが、システムが大きくなると再現性が悪くなるという問題がある。そこで、可能な限り実物に近いシステムをつくり実験と検証を重ねることが必要になる。ところが、原子炉の場合、燃料棒など実物を使うわけにいかない部分があり、これが従来の実証性を虚構化する要因になっている。
  補足①-3 科学的に装われた「故障確率」に注意せよ! 個々の部品の故障確率からシステム全体の故障確率を推計することは、部品の数が膨大になると、単なる数字の上でのゲームになりやすい。
研究費への依存性増大による特定領域への偏向
  補足② いかに名声があり偉大な科学者であっても、国家的なプロジェクトの目的に異議をとなえ影響を与え得た科学者はいなかった。それが可能なのは、普通の人たちの幅ひろい運動と世論に支えられた場合だけである。
研究の細分化と効率性追求による総合的視点の喪失
  補足③ 巨大科学技術は、それを担う人々を細分化した専門家に仕立てあげる。しかし、システム全体に対する総合的な視点、地球環境や未来に対する総合的視点と責任を見失ってはならない。
影響の巨大化と研究の私的性格との間の矛盾
  補足④ 科学者・技術者は、組織の中での仕事に携わることによって、その個人的な意図にはかかわらず、ある特定の社会的な役割を担わされる。そして仕事を推進させる原動力は、科学者の純粋で私的な探究心に他ならない。


【巨大システムに発生する事故の特徴】
  (1) 事故シナリオにはなかった想定外の些細な事象から、重大な事故は始まる。
  (2) 機械と機械、機械と人間の相互作用が、事故を連鎖的に拡大する。また、火災などによる共通要因事故も存在する。もし、安全審査の事故確率論が、個々の事象が独立である前提で計算しているなら、それは欺瞞である。注意せよ!
   (2.1) 重大事故を発生させる巨大システムに内在する特性:①諸機能間の複雑で高い相互作用性、②空間的近接性に起因する脆弱性、③遊びのない緊密性に起因する脆弱性、④機械と人間との間の複雑な相互作用性、⑤システムの複雑性に起因する予期せぬ相互作用性
    (補足④-1) 機械と人間との奇妙とも言えるような相互作用が、人間の判断ミスを誘い、事故を重大化させる。
  (3) 事故の遠因は日常に潜んでいる。経済状況、税法、規制法制等の社会状況、組織の経営理念、企業文化、管理体制等々。
  (4) 事故において、最後の砦となる決定的役割を演じるのは人間である。

【重大事故を防ぐ方法は、あるだろうか?】
  パッシブ・セーフティ:異常が発生したとき、人為的で動的な介入ではなく、重力とか熱移動など間違いなく作用する自然法則に依拠した安全性が働くようなシステムなら、うまくいくかもしれない。


(以下、出典:なぜ脱原発?原子力資料情報室(CNIC)
原子力に頼らない社会をめざす「10の理由」
脱原発とは、その名の通り「原発(原子力発電所)のある社会から脱け出すこと」。でも、私たちはなぜ、脱原発を目指さなければならないのでしょうか。数ある答えの中でもCNICが特に重要と考える、脱原発の「10の理由」をお話します。
1. 放射能災害の危険性がある。
 原子核の核分裂反応を利用して電気をつくる原発では、反応のコントロールに失敗するとチェルノブイリ原発で起きたような爆発事故が発生します。また原子炉を冷やすことに失敗すれば、福島原発で起きたようなメルトダウン事故も起きてしまいます。これら原発の大事故は、寿命の長い放射能を大量に放出するため影響が長く続き、甚大な放射能災害をもたらします。このまま原発の運転を続ければ、地震や津波、人為的ミスなどさまざまな原因によって、またいつ次の大事故が起きても不思議ではありません。」
(補足1)核技術は、46億年かけて育まれたこの地球の環境には存在しなかった物質を、つくり出してしまう。
(補足2)この地球のあらゆる循環と生命の営みの原理である化学反応の世界よりも、100万倍も強い力の世界が核反応の世界だ。それは、一歩間違えれば、もはややり直しがきかないような事故のリスクを抱えている。
(補足3)人間は全知全能ではあり得ないから、必ず間違いや事故の可能性がある。したがって、試行錯誤や、やり直しが許されないような技術は、廃棄すべきである。宇宙開発、化学物質の製造、遺伝子組換えも、同様の観点での検証が必要だ。

【事故の種類】
(1) 冷却材喪失事故(空炊き事故):その原因 ①配管の大破断 ②水漏れ ③金属劣化による釜の破壊 ④停電による送水停止
(2) 反応度事故
(3) 臨界事故
  (補足)臨界事故の恐怖

2.放射性廃棄物という「負の遺産」を発生させる。
 もし仮に大事故は防げたとしても、原発を動かしている限り、さまざまな放射能のごみが大量に発生し続けます。それら放射性廃棄物の中には10万年以上も隔離が必要なものも存在し、このままでは後世にゆだねる「負の遺産」がますます増える一方です。未来の負担、子孫の負担を少しでも小さくすることを、私たちは真剣に考えなくてはいけません。」
(補足1)原発が、いかに巨大な量の放射能を蓄えているかを理解しておくこと。100万kW級の原発1基は、1日で広島型原爆3発分、年間700~1000発分の核反応に相当する。
(補足2)放射性廃棄物の管理を難しくする4つの理由(①毒性が非常に強い,②半減期が非常に長い,③発熱し続けるので小さくまとめられない,④化学的性質が違う多くの元素を含むので、処理や保管が難しい)
(補足2-1)放射性廃棄物が壊変して毒性のない元素になるには、数百万年の時間が必要となる。これは、人間に管理できる時間スケールだろうか?
(補足2-2)寿命の長い放射能を寿命の短いものにしてしまうとか、放射能のないものに変えてしまうという試みは、成功していない。すなわち、原子力の火は、つけることはできるが、消したいときに消せない火なのだ。
3.核拡散の危険性がある。
 原発も原爆も燃料は同じで、「ウラン」または「プルトニウム」です。原発の燃料である「低濃縮ウラン」をつくる作業を繰り返せば、原爆の燃料である「高濃縮ウラン」は容易に手に入ってしまいますし、また原発の使用済み燃料に含まれる「プルトニウム」は再処理工場で取り出すことが可能です。したがって原子力発電を続ける限り、新たに「核兵器国になろう」とする国や、「高濃縮ウランやプルトニウムを奪って核爆弾をつくろう」とする集団が現れることを防げません。またこれらの動きを封じ込める名目で「核管理社会」化が進めば、人権が制限され、危険を知るための情報も隠されて、充分な備えのないままに原発事故が起きてしまう可能性も否めません。
4.事故がなくても、労働者の被ばくをともなう。
 原発の中では、元請け-中請け-下請け-孫請け-ひ孫請けと何重にも差別された多くの労働者が働いています。そして被ばく全体の95パーセント以上が、「電力会社の社員以外」の人たちの身体で起きています(平常運転時)。
 原発だけでなく、ウランの鉱山使用済み燃料の再処理工場においても、大勢の人たちが放射線を浴びながら働いています。労働者の被ばくなくして、原発は動かないのです。
5.関連施設にも、大きな危険や問題がある。
 原子力発電では、ウラン鉱石を掘り出し燃料を製造する施設や、放射性廃棄物のあと始末をする施設など、いわゆる核燃料サイクルの関連施設が数多く必要となります。これらの施設も原発同様で、さまざまな事故の危険性を抱えており、労働者が被ばくし、また放射能のごみを大量に発生させています。
6.地域の自立や平和をそこなう。
 原発の立地自治体では、電源三法交付金などにより財政が一時的にうるおうため、これに依存することにより地域の経済的な自立が妨げられます。また、地域住民の間にそれまで存在しなかった「賛成」「反対」の対立を持ち込むことも、たいへん大きな問題です。
7.常に情報の隠ぺいやねつ造などが、つきまとう。
 原発をめぐる産・官・学の特定の関係者の間で「原子力ムラ」と呼ばれる風土が形成され、オープンな議論ができない環境ができあがっています。科学や技術の分野には批判的精神が不可欠ですが、研究費や人事を通してそれらが損なわれ、原子力の研究にかかわる大学や研究者には利益相反の疑いも生じています。
8.省エネルギーに逆行する。
 原子力自動車や原子力ストーブが存在しないように、原子力はほかのエネルギー源と違って、電気の形にしなくてはエネルギー利用ができません。しかも発電時のロスはきわめて大きく、発生した熱の65パーセント以上が温排水として海に捨てられてしまいます。また原発は、電力需要の変化に合わせて出力を変えられないため、出力調整用の発電所が必要となります。つまり原発を動かすために、火力、水力などの発電所が余分につくられてしまうのです。このように原子力はエネルギー源としてたいへん無駄が多く、省エネルギーに逆行する存在なのです。
9.実は、温暖化をすすめる。
 上で説明したように原発を増やせば、ほかの発電所も増えてしまいます。したがって原発が火力発電所よりもCO2を出さないとしても、原発のある社会では火力発電所も必要とするため、最終的にCO2を減らすことは叶わず温暖化を止めることもできません。それどころか、CO2の削減に最も効果的な「省エネルギー」に逆行する原発は、むしろ温暖化をすすめる存在です。原発に膨大な予算が注ぎ込まれることで、私たちの社会は、より有効な温暖化対策に使うべきお金を失っているのです。
10.実は、大停電を起こしやすい。
 大きな地震などがあると、多くの原発がいっせいに止まってしまうことがあります。そしていったん停止した原発は、再稼働するまでに多くの時間がかかります。また電力消費地から遠く離れた場所にしか建てられない原発には、長距離の送電が必要となります。そのため電圧や周波数の維持が困難になり、送電が止められてしまうこともあります。このように原発は、安定的な電力供給どころか、大停電につながる要因を数多く抱えています。原発の占める割合が大きいほど、止まれば大停電になりかねません。」
(出典:なぜ脱原発?原子力資料情報室(CNIC)


(出典:高木仁三郎の部屋
友へ―――高木仁三郎からの最後のメッセージ
 「「死が間近い」と覚悟したときに思ったことのひとつに、なるべく多くのメッセージを多様な形で多様な人々に残しておきたいということがありました。そんな一環として、私はこの間少なからぬ本を書き上げたり、また未完にして終わったりしました。
 未完にして終わってはならないもののひとつが、この今書いているメッセージ。仮に「偲ぶ会」を適当な時期にやってほしい、と遺言しました。そうである以上、それに向けた私からの最低限のメッセージも必要でしょう。
 まず皆さん、ほんとうに長いことありがとうございました。体制内のごく標準的な一科学者として一生を終わっても何の不思議もない人間を、多くの方たちが暖かい手を差しのべて鍛え直して呉れました。それによってとにかくも「反原発の市民科学者」としての一生を貫徹することができました。
 反原発に生きることは、苦しいこともありましたが、全国、全世界に真摯に生きる人々とともにあることと、歴史の大道に沿って歩んでいることの確信から来る喜びは、小さな困難などをはるかに超えるものとして、いつも私を前に向って進めてくれました。幸いにして私は、ライト・ライブリフッド賞を始め、いくつかの賞に恵まれることになりましたが、繰り返し言って来たように、多くの志を共にする人たちと分かち合うものとしての受賞でした。
 残念ながら、原子力最後の日は見ることができず、私の方が先に逝かねばならなくなりましたが、せめて「プルトニウム最後の日」くらいは、目にしたかったです。でもそれはもう時間の問題でしょう。すでにあらゆる事実が、私たちの主張が正しかったことを示しています。なお、楽観できないのは、この末期的症状の中で、巨大な事故や不正が原子力の世界を襲う危険でしょう。JCO事故からロシア原潜事故までのこの一年間を考えるとき、原子力時代の末期症状による大事故の危険と結局は放射性廃棄物が垂れ流しになっていくのではないかということに対する危惧の念は、今、先に逝ってしまう人間の心を最も悩ますものです。
 後に残る人々が、歴史を見通す透徹した知力と、大胆に現実に立ち向かう活発な行動力をもって、一刻も早く原子力の時代にピリオドをつけ、その賢明な終局に英知を結集されることを願ってやみません。私はどこかで、必ず、その皆さまの活動を見守っていることでしょう。
 私から一つだけ皆さんにお願いするとしたら、どうか今日を悲しい日にしないでください。
 泣き声や泣き顔は、私にはふさわしくありません。
 今日は、脱原発、反原発、そしてより平和で持続的な未来に向っての、心新たな誓いの日、スタートの楽しい日にして皆で楽しみましょう。高木仁三郎というバカな奴もいたなと、ちょっぴり思い出してくれながら、核のない社会に向けて、皆が楽しく夢を語る。そんな日にしましょう。
 いつまでも皆さんとともに
                     高木 仁三郎
 世紀末にあたり、新しい世紀をのぞみつつ」
(高木仁三郎(1938-2000)『高木仁三郎著作集 第四巻 プルートーンの火』未公刊資料 友へ―――高木仁三郎からの最後のメッセージ、pp.672-674)

高木仁三郎(1938-2000、物理学、核化学)
原子力資料情報室(CNIC)
Citizens' Nuclear Information Center
認定NPO法人 高木仁三郎市民科学基金|THE TAKAGI FUND for CITIZEN SCIENCE
高木仁三郎の部屋
高木仁三郎の本(amazon)
検索(高木仁三郎)
ニュース(高木仁三郎)

高木仁三郎 略歴・業績Who's Whoarsvi.com立命館大学生存学研究センター

原子力市民委員会(2013-)
原子力市民委員会
Citizens' Commission on Nuclear Energy
原子力市民委員会 (@ccnejp) | Twitter
検索(原子力市民委員会)
ニュース(原子力市民委員会)

今後、数十年間、忘れないで注意する必要がある!

(出典:放射能汚染地図(八訂版)早川由紀夫の火山ブログ

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もし、ほんの少し運が悪ければどうなっていたか。決して忘れないこと!
 ※日本とチェルノブイリの汚染範囲が、同じ縮尺で描かれています。

(出典:放射能汚染地図(八訂版)早川由紀夫の火山ブログ



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