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哲学の再構築 アントワーヌ・アルノー(1612-1694)精神のうちには、精神が意識してはいない多くのものがありうるのではないか。

 それがはるか過去に到達されたものであっても、誰によって唱えられたものであっても、真理は普遍的なものであって、時代により異なる光が当てられ、異なる表現が与えられても、同じ真理は確固として、ここに存在する。かつて哲学がめざした総合的な知恵の一部は、細分化された諸学の分野へと分離され、展開せしめられたが、現在なお、総合的な知恵たる真の哲学体系は存在しないように思われる。当哲学講座は、古今東西の主だった先哲の、受け継ぐべき最低限の最良部分の成果物を、一つの総合的な知恵の体系として記述する試みである。まず各先哲の内部体系として記述され、後に総合的な体系のなかで再記述されるだろう。

【精神のうちには、精神が意識してはいない多くのものがありうるのではないか。】(アントワーヌ・アルノー(1612-1694))
 「書き落としたことをひとつ付け加えておきます。尊敬すべき著者が確実であると断定なさっていること、すなわち、「思惟する事物としての、彼[デカルト]のうちには、彼が意識していないものは、何ものもありはしない。」ということは、虚偽であると私には思えるのです。と申しますのも、思惟する事物としての彼[という言葉]によって、著者は、身体と区別されている限りにおいての、彼の精神だけを知解しているのです。ですが、精神のうちには、精神が意識してはいない多くのものがありうることを、分からない人がいるでしょうか? 胎児の精神は、思惟する力を有していますが、それを意識してはいないのです。これに類する多くのことは省くことにいたします。」
(アントワーヌ・アルノー(1612-1694)『省察 第四反論』デカルト著作集[二]、p.260、[廣田昌義・1993])
(索引:無意識)

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 さて、まとめとして、ご紹介したルネ・デカルト(1596-1650)の基本命題集を、下記に一覧化しておきましょう。


すべての諸学の基礎、その真理性を疑い得ないようなもの
1 もし何か真なるものを認識することが私の力に及ばないにしても、断乎として偽なるものに同意しないように用心することは、私の力のうちにある。
2 私があるものであると、私が考えるであろう間は、確かに私は何ものかとして存在する。
2.1 哲学者たちは、最も単純で自明的なことを、論理学的な定義によって、説明しようと試みた点で誤りを犯している。
2.2 概念をよく区別し、それが属しているものにのみ帰属させること。ある困難な問題を、それに属していない概念によって説明しようとするとき、われわれは必ず間違う。
2.3 私は、私の推論の基礎として、何ものもそれ以上に識られているものはありえない程に、私に識られているところの私自身の存在を、使用することを選んだ。
3 疑い、理解し、肯定し、否定し、欲し、欲せぬ、なおまた想像し、感覚するものが、確かに存在する。
3.1 精神のうちには、精神が意識してはいない多くのものがありうるのではないか。(アントワーヌ・アルノー(1612-1694))





(出典:wikipedia
アントワーヌ・アルノー(1612-1694)


(出典:wikipedia
 「その第一の部門は形而上学で、認識の諸原理を含み、これには神の主なる属性、我々の心の非物質性、および我々のうちにある一切の明白にして単純な概念の解明が属します。第二の部門は自然学で、そこでは物質的事物の真の諸原理を見出したのち、全般的には全宇宙がいかに構成されているかを、次いで個々にわたっては、この地球および最もふつうにその廻りに見出されるあらゆる物体、空気・水・火・磁体その他の鉱物の本性が、いかなるものであるかを調べます。これに続いて同じく個々について、植物・動物の本性、とくに人間の本性を調べることも必要で、これによって人間にとって有用な他の学問を、後になって見出すことが可能になります。かようにして、哲学全体は一つの樹木のごときもので、その根は形而上学、幹は自然学、そしてこの幹から出ている枝は、他のあらゆる諸学なのですが、後者は結局三つの主要な学に帰着します。即ち医学、機械学および道徳、ただし私が言うのは、他の諸学の完全な認識を前提とする窮極の知恵であるところの、最高かつ最完全な道徳のことです。ところで我々が果実を収穫するのは、木の根からでも幹からでもなく、枝の先からであるように、哲学の主なる効用も、我々が最後に至って始めて学び得るような部分の効用に依存します。」
(ルネ・デカルト(1596-1650)『哲学原理』仏訳者への著者の書簡、pp.23-24、[桂寿一・1964])

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